兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年12月15日(1706号) ピックアップニュース

主張 この一年を振り返って さあ、投票に行こう

 2012年の総括をすべきこの時期、はからずも総選挙の運びとなった。
 「失われた20年」と言われて久しいが、今年もその延長の1年だったと総括されそうだ。歴代の自民・民主両政権は、言葉では「景気回復」「デフレ脱却」を叫ぶも、まったく実現できなかった。日本の経済力を示すGDPは、ここ数年まったく増えていない。
社会保障拡充で経済活性化を
 一方、医療費の高騰で国が滅ぶとする「医療費亡国」論と正反対の高福祉政策を実行している北ヨーロッパ諸国の多くが、同時期におよそ2倍もの経済成長を遂げている。WHO健康達成度総合評価でも、軒並み高い評価を得ている。
 両者の違いは、何を物語っているか。
 社会保障費を削り雇用破壊を進め、一部の大企業にのみ富を集中させてきた小泉構造改革以来の新自由主義的政策の破たんは明白だ。北ヨーロッパ諸国の実践は、社会保障拡充と雇用改善こそが国民の安定した生活と消費力を生み、ひいては経済を活性化させることを示している。「世を治め民を救う=経世済民」を語源とする経済の本来のあり方ではなかろうか。
 3年前、民主党は、OECD並みの医療費の実現、世界最低水準の教育予算の引き上げなど、「国民の生活が第一」のマニフェストを引っ提げ、自民党政治からの脱却を望む国民の期待を受け、政権の座についた。しかし、診療報酬は据え置かれたうえ、マニフェストにはなかった消費税増税やTPP参加を強行しようとしている。
問われる日本国民の「民意力」
 公約違反といえば、今回の総選挙でも離合集散を繰り返し、一夜にして政策を変える政党がみられる。このような政党や政治家が、はたして選挙後、誠実に公約を実現するのだろうか。
 演出や勢いに惑わされることなく、しっかりと政策を吟味し、国民皆保険制度を守り発展させ、国民所得を温め経済再生を実現する政党・政治家を選びたい。
 12月16日、日本国民の「民意力」が問われる。
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