兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2013年3月05日(1712号) ピックアップニュース

神戸空港開港7年 赤字運営つづく 復興事業のあり方 問いなおす

 神戸空港は2006年の開港から7年を迎えた。阪神・淡路大震災直後、神戸市が「創造的復興」の目玉として打ち出した空港建設。しかし、搭乗者数は予測の半分にとどまり、実質的には赤字運営で市債償還に追いつかず、市政の重荷となっている。東日本大震災の復興のあり方を考える上でも、神戸空港の検証は重要である。開港7年となる2月16日には、協会神戸支部が参加する「ストップ!神戸空港」の会が集会を開き、空港の現状を検証し、住民本位でないハコモノ重視の復興を進めた神戸市の姿勢を問うた。
「ストップ!神戸空港」の会集会 空港をメガソーラー基地に

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住民の力で自然エネルギーを普及し、神戸経済を活性化しようと、和田氏が訴えた

 「ストップ!神戸空港」の会が兵庫勤労市民センターで開いた「神戸空港開港7年抗議と学習集会」には、約60人が参加。神戸支部から武村義人副理事長・神戸支部副支部長が参加し、同会代表としてあいさつした。
 同会事務局長の北岡浩氏は、神戸空港の実績を検証するとして、神戸市が開港前に発行した「神戸空港ニュース」をもとに、現状との対比を報告。神戸市はバラ色の幻想をふりまいてきたが、実態はひどい状態であると批判した。
 また、赤字空港の転用策として北岡氏は、神戸空港をメガソーラー基地にしようとの提案を発表した。売却用の土地以外に太陽光パネルを敷き詰めた場合を試算。コスト、発電見込み等から、建設費350億円に対し、年間収入は44億円が見込め、維持管理費10億円を除いても34億円の収入が見込めるとした(表)。
 同会は、赤字を増やし続ける神戸空港と海上アクセスを廃止し、活用方法を検討せよとする決議を採択した。
 学習会では日本環境学会会長の和田武氏が「地域主導の自然エネルギー普及による地域社会の発展」をテーマに講演。
 石油・ウランなど埋蔵資源による再生不能エネルギーについて、有限性やコスト、事故リスクなどの特性を自然エネルギーと比較し、自然エネルギーの優位性を指摘。ドイツやデンマークなど国際的な動向も紹介して、自然エネルギーへの転換を強調した。
 参加者からは、「風力発電は低周波などで問題はないのか」などの質問が出され、「地域に関係のない企業が勝手に設置することから問題が起こっている」とし、「地域住民が設置場所も含めて参加し、自らが所有者となっている国では、そういう問題は起きていない」などと回答した。



検証
神戸空港の7年 当初予測大きく下回り市債償還で自転車操業
 「神戸空港開港7年抗議と学習集会」で、「ストップ!神戸空港」の会が報告した検証内容を紹介する。
 北岡氏は、検証の基準として、神戸市が開港前に発行した「神戸空港ニュースNo19」などをもとに、実態と比較した。
 第1のポイントは「旅客数」。市は2010年度に当初420万人、途中修正で400万人になると見込んだ。しかし旅客数は07年度の297万人をピークに減り続け、11年度は256万人と予測値の6割程度。12年度は1月までの10カ月値で201万人にすぎない(図1)。貨物取扱量に至っては、開港直後の06年度をピークに、11年度は3分の1まで減少している(図2)。デフレ経済下で、神戸市だけの問題でないとしても、いずれも予測値を大幅に下回っている。
 第2のポイントは「着陸料収入」。神戸市は空港の運営について「着陸料収入で運営。収支に心配はありません」とし、空港管理収支の見込みでは、市債償還費と着陸料見込みがほぼ対応する形で計上されていた(図3)。
 しかし、着陸料の決算は市予測の3分の1にすぎず(図4)、空港の管理収入に占める割合は26%までダウン(図5)。新たな借金でとりつくろってはいるものの、実態は大赤字だ。
 第3のポイントは、「市税を使わずに建設します」としてきたこと。「市債を発行し、埋め立てた土地売却で返済する」というのが市の説明だったが、売れたのは82.8ヘクタールのうち8・3ヘクタールだけ。95%が売れ残り、借金2303億円返済のめどがたたない。神戸市の特別会計である新都市整備事業から新たに借金する多重債務に陥っている。
 第4のポイントは、関連事業としての「海上アクセス」問題。関空とポートアイランドを海上で結ぶ事業で1988年に事業開始後、02年に多額の赤字を抱え休止していたが、06年の神戸空港後に再開。しかし再開後も赤字を増やし続け、累積損失は167億円に拡大。神戸市は、事業体への貸付金を繰入金に変換する「100%減資」という手法で、市の負債158億円を帳消しにした。つまり市民の税金158億円が海の藻屑に消えた格好である。
今秋神戸市長選挙 空港の今後問おう
 神戸空港は、阪神・淡路大震災の「創造的復興」を象徴する事業であったが、復興に役立つどころか市民のお荷物となっていることは明らかだ。
 本年秋には神戸市長選挙が行われる予定で、神戸空港問題は争点として注目される。
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