兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2013年8月25日(1727号) ピックアップニュース

燭心

 今年も日本の盆は終わった。8月6日、8月9日、そして8月15日には、各地で多数の追悼式が行われ、15日は終戦記念日の国家的行事が例年のごとく開催された。本当は「敗戦記念日」というべきであるのに「終戦」というこの不思議▼戦争というものには名前がついているのが普通なのに、あの戦争は何と呼んだらいいのだろう。太平洋戦争、いや第二次世界大戦か。「先の大戦」で通るのである。相手国はどこか、この質問にきちんと答えられる日本人が何割いるだろう。中国や韓国の指導者から「歴史認識」という言葉をよく聞くが、明治以後のわが国の歴史を国民がきちんと理解する必要がある。学校教育の中で、グローバルな視点から見ても正しい歴史を子どもたちに教えるべきである▼幸いなことに、この時期になると、テレビ番組に日米開戦、戦時下の記録映像などが増えるので、若い人たちには意識して観ていただきたいと思う。ドイツはきちんと戦争の総括をしたが、わが国は「敗戦」を「終戦」と言い換えたごとく、あいまいなまま反省をせずに68年が経過した。安倍政権になって、あいまいどころか「開き直り」とさえ見える姿勢に憂慮している▼来年のアメリカの中間選挙をにらんで、TPPに関わる対米交渉は厳しいことが予想される。あいまいな妥協は日本の将来を危うくする。今年の秋は、日本外交の正念場となるであろう。盆の月は、過去、現在、未来をつなぐ大事な月だ。(硝子)
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