兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2013年11月05日(1734号) ピックアップニュース

燭心

 人間にとって最大の不幸は、不治のやまいに罹患し死を宣告されることである。誰しも早くその病を治す薬を求めるであろう。新薬には人類の夢が託され、科学技術のすいが集約されている▼核兵器を有するからといって先進国ではない。新薬を開発できる国は、米・英・仏・独・日・スイスの6カ国しかない(スウェーデン、デンマーク等の企業は合併して他国へ本社移転した)。これぞ本当の先進国である▼日本が6カ国に入っているからと言っても決して自慢できない。日本最大の薬品会社T社は、内部留保金が2兆3千億円と巨額であるが、同社の抗生剤、降圧剤(ARB)、DPP--4阻害剤、PPI等、そのほとんどすべてが二番煎じか外国からの導入品である。にも関わらず新薬として政治的に高い薬価を認めてもらい、自社開発のピカ新は全くないのに高収益を得ている▼国は巨大製薬会社に高薬価を認め、研究開発を促進しようとしているが、企業は努力を怠って米国等のベンチャー企業を1兆円近い巨費を払って買収している。日本人の働いて得たお金や血税が外国とくに米国へ流出している▼医療費を上げても医師の技術料に回らず、薬代が増えているだけである。処方薬は他の工業製品と異なり、消費者(患者)が選べず、医師が選び保険を通して処方するという特殊性があるが、国民も異常な高薬価に気づいてほしい。一部の製薬会社はむしろ商事会社と言った方が良い。全く先進国として恥ずかしい。(鼻)
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