兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2013年11月25日(1736号) ピックアップニュース

主張 国民の声を聞かない安倍政権 憲法の精神を守れ

 10月15日に召集された第185回臨時国会では、12月6日までのわずか53日間のなかで、「決められる政治」と称して、社会保障制度改革プログラム法案、生活保護法「改正」案、特定秘密保護法案、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案など、多くの法案が次々と採決されようとしている。
 多くの一般国民(以下、国民)は、これに大きな違和感と嫌悪感を感じている。
 なぜだろうか? それは、この政治手法が〝姑息で卑怯な〟やり方であるからだ。これらの法案は、国民排除の密室で結論ありきの議論が行われ、国会での十分な議論をつくさず決定されようとしている。例えば、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案は外交・安保の基本方針を決めるものだが、特別委員会ではわずか21時間しか審議されなかった。70〜74歳の医療費窓口負担引き上げなどを盛り込んだ社会保障制度改革プログラム法案は、審議不十分のまま衆議院の厚生労働委員会で採決が強行された。
 そもそも安倍首相は、憲法25条が国に求める社会保障についての責任を放棄し「自助」「共助」に変えてしまう、憲法が許さないとしてきた集団的自衛権の行使を認めようとするなど、法律で憲法の精神を根本から変えようとする「立法改憲」「解釈改憲」によって、憲法を骨抜きにしようという姿勢が目立つ。
 日本国憲法99条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあり、政府や国会議員に憲法遵守を命じている。前述のごとく、安倍政権はこの99条をどう考えているのか。
 現政権は改憲をうたっているが、このように憲法の根本精神を軽んずるような政権に改憲を口にする資格はない。
 社会保障「一体改革」・消費税増税・TPP交渉参加を含め、現政権の進める政策の方向性は、1%の富裕層のため、そしてアメリカ追従のためならば、平気で憲法を軽んずるものである。この政権をこのまま暴走させてはならない。
 われわれ国民は、後世に「衆愚」と言われないためにも、これらの法案を廃案に持ち込む義務を担っている。
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