兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2013年12月15日(1738号) ピックアップニュース

主張 国益守らない自民党 今こそTPP反対広げよう

 TPPは、「今だけ、金だけ、自分だけ(鈴木宣弘東京大学教授の言葉)」しか見ない「政・財・官」に加え、「学」が進める、「自由貿易協定ではなく、アメリカの特殊な利益集団による管理貿易協定(ノーベル経済学賞受賞者スティグリッツ教授の言葉)」である。
 自民党は「国益を死守する」とし、衆議院選前に6項目を掲げた。
 「(1)政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。(3)国民皆保険制度を守る。(4)食の安全安心の基準を守る。(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。」
 (1)ですら反故にされつつある今、他の項目に至っては、交渉参加前後の日米並行協議における、「攻めるべきは攻め」るどころか、「守るべきは守」られていない、一方的内容を見れば、交渉チームに国益の死守は期待できない。
 そして、安倍首相は「国民皆保険を守る」というが、何を守るのかについては、具体的に言及したことがない。自民党は国民「皆」が保険証を持っているだけで、国民「皆」保険と考えている節もある。
 TPPに参加すれば、医薬品・医療機器の価格高騰、特区を突破口にした混合診療の解禁、株式会社の病院経営が確実に広がるだろう。持ち込まれるのは米国型格差医療で、経済的弱者が最適医療から排除される。これでは国民皆保険を守ったとは言いがたい。看過できないのは、これらが日本の一部勢力との「日米合作」であり、「米国は歌舞伎の敵役を演じさせられているだけ」という米国側交渉者もいることだ。
 安倍首相は、来秋の中間選挙を控えたオバマ大統領の、関連大企業からの資金援助と票集めのために、TPP妥結を春の来日のプレゼントとしたいだろう。いよいよ主戦場は国会での批准に移る。
 国家主権すらないがしろにされる、米国の経済的植民地化計画であるTPPは、尖閣や竹島と同様に日本の国益を損なう、隷属的協定になる。
 自民党の国会議員は「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない」と書かれたポスターを貼って、多数当選した。
 左右を問わない、日本の国益を守る国民世論と、与野党を超えた日本の国会議員の愛国心と覚悟に期待しつつ、正念場を向かえたTPP参加反対運動を、今一度広げよう。
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