兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2014年4月25日(1749号) ピックアップニュース

改定インタビュー(3) 怒りの声 歯科(1) 在宅歯科診療不合理な評価

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宝塚市・こう歯科医院 高 俊永先生

 在宅歯科医療を25年前から行っている高俊永先生に、歯科訪問診療の評価の不合理について聞いた。

 −今回の改定は、「在宅歯科医療の推進等」を掲げています。
 私は、25年前の開業当初から歯科訪問診療を続けてきました。高齢の患者さんから「寝たきりで通院できなくなったので来てほしい」と依頼があって始めました。今では歯科衛生士を連れて毎日午前診の後に訪問診療をしています。
 当時の訪問診療は、難しい、リスクが高い、と敬遠され、往診する歯科医師の数はわずかでした。2000年の介護保険施行から在宅への誘導策もあり、歯科診療報酬上でも評価されるにつれて、取り組む歯科診療所が徐々に増えていることは、高齢化が進む中、歓迎したいと思っています。今次改定でも、医科歯科の連携の評価や在宅かかりつけ歯科診療所加算の新設で、新規に在宅に関わる歯科医師を増やしたい意図があると思います。

 −歯科訪問診療の20分の時間要件は残りました。
 診療行為を時間で計るのはナンセンスです。経験を積み、ベテランになるほど、治療にかかる時間は短くなるのが普通です。とくに、訪問診療を行うような患者さんは、寝たきりで他の疾患も抱えてリスクが高いため、手際の良い短時間での治療が求められます。ところが、診療報酬では、治療時間が短ければ評価が下げられます。短時間にする方が難しいのに下げられるのは矛盾しています。

 −同一建物の複数患者への歯科訪問診療料の点数が大幅に引き下げられました。
 患者さんそれぞれに治療しているのに、同じ建物かどうかで医療技術の評価が変わるのはおかしなことです。戸建てなら隣戸に行ってもそれぞれに算定できるのに、マンションでは同日に2軒行けば評価が下がるのは、診療実態と合わず不合理です。患者さんにも説明がつきません。
 ご夫婦から依頼があり訪問する場合、当然一緒に診てほしいと要望されます。老々介護で認知症と難聴のご夫婦も診ていますが、義歯の修理などはすぐに対応しないと認知症の患者さんは二度と口を開けてくれなくなったりします。2人同日に診れば点数が下がるけれど、だからといって別の日になどできるわけがありません。
 悪徳業者の排除が目的といいますが、それは診療報酬上でなく別の形で取り締まるべきです。

 −消費税増税補てん分として、初再診料などが引き上げられました。
 医療は非課税といいながら、結局患者さんの自己負担が増えてしまうわけです。70〜74歳になられる方の負担も2割に引き上げられました。今でも治療中断が起こっているのに、さらに増えるだろうと、心配しています。患者さんの負担を軽減し、必要な医療を提供するために、消費税の損税については、協会が主張しているようにゼロ税率を導入すべきでしょう。
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