兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2014年5月15日(1750号) ピックアップニュース

燭心

 GWを利用して、保団連主催の中国・ハルビン旅行に行ってきた。ハルビンは中国東北部の中心都市で、19世紀後半、ロシアが東方進出の拠点として建設した。今でも当時の洋風建築が数多く残り、さながらヨーロッパにいるような錯覚を覚える。ちょうどリラの花が真っ盛りで美しい▼この町の歴史が大きく変わったのは1931年秋。満州事変が起こり、日本がこの地を植民地支配する。日本の傀儡国家満州国を、中国では今も怒りをこめて「偽満州国」と呼んでいる。15年にわたる日中戦争の始まりである▼中心部から20キロメートルほど南に、平房(ピンファン)という町がある。ここにある旧陸軍731部隊の施設跡を見学するのが、今回の旅行の目的だ。6千人ともいわれる中国人捕虜を各種人体実験に供し、虐殺したとされる。ほとんど破壊しつくされた施設を、懸命に保存していただいている現地の方々の努力に頭が下がる。今、世界遺産に登録しようという運動が進んでいる▼医学・医療に携わる者として、アウシュビッツや広島・長崎とともに忘れることがあってはならない、歴史遺産である。この日は奇しくも憲法記念日の翌日。わが国では、戦争の反省から出発したはずの憲法9条を否定しようとする動きが強まっている。「過去を見ようとしない人の目には、現在も見えなくなります」とは、同じ敗戦国ドイツの元大統領の言葉だ。歴史と向き合うことで未来が開けると心に刻みたい(星)
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