兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2014年5月25日(1751号) ピックアップニュース

2014年度 診療報酬改定による影響調査結果〈医科〉 消費税増税対応分を除くと実質マイナス改定

 診療報酬改定が4月1日から実施され、協会では例年通り会員医療機関に提供いただいた2月診療分の社保・国保・後期高齢者の入院外レセプト(院内処方・院外処方)を新点数に置き換えた。
 今次診療報酬改定は、公称で診療報酬本体プラス0.73%、薬価・材料価格マイナス0.63%、全体でプラス0.1%であるが、消費税増税対応分1.36%を除くと実質でマイナス1.26%とされている。
 〈表〉のとおり置換前と置換後で院外処方の医療機関では、内科(1.)・外科(3.)とも薬科分の引き下げが反映されていないので、総点数がわずかにプラスとなっている。しかし、消費税増税対応分として初診料12点、再診料3点が上乗せされており、消費税対応分を除くとそれぞれ実質ゼロとなっている。
 院内処方の医療機関については、内科(2.)・外科(4.)とも薬価の引き下げが大きく影響しており、消費税増税対応分を含めた場合でも明らかなマイナス改定となっている。特に薬剤料の比率が高い内科(2.)では、引き下げ幅が大きく、マイナス1.26%を超えるマイナス1.83%となっている。
 今次改定では、一般的な診療所で汎用される点数はほとんど据え置かれており、引き上げは、検査料の静脈採血料(16点→20点)などわずかな項目に限られる。それらについても生化学検査(Ⅰ)の包括点数が10項目以上で引き下げられている(121点→117点)ため、ほぼ相殺されている。
 新設された「地域包括診療料」「地域包括診療加算」は施設基準の要件が厳しく、算定できる診療所が一部に限られるため、置き換えからは除外している。
 いずれにしても、基本的な点数が据え置かれたことによって、内科系・外科系問わず、多くの診療所では実質的にはゼロ、もしくはマイナス改定となっている。
 なお、今回の調査には反映されていないが、「同一建物居住者」に対する在宅患者訪問診療料および在宅時医学総合管理料(特定施設入居時等医学総合管理料)が大幅に引き下げられており、在宅医療を提供している医療機関においては大きな影響が出ているものと考えられる。
 また、消費税増税対応分として初診料・再診料が引き上げられたが、消費税損税分を賄えるだけの上乗せとなっているかは今後の検証が必要だ。
 協会・保団連では診療報酬の抜本的な引き上げとともに、消費税増税への対応は診療報酬による補てんではなく、「ゼロ税率」の適用を求めている。

〈表〉協会会員医療機関における2014年2月診療分の社保、国保、後期高齢者の各レセプト(20件)置き換え
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