兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2014年7月05日(1755号) ピックアップニュース

燭心

 真っ白な城が再びその優美な姿を取り戻した。JR姫路駅北側ウェルカムゲートをくぐると大手前通りの突き当たりに、中国山脈につながる広峰山をバックに白鷺がその凛とした姿で出迎えてくれる▼筆者の母校の校歌は「朝な夕なに白鷺の優でし姿、仰ぎつつ」で始まる。姫路の子どもたちは白鷺城を誇りに思っている。広峰山は九州・宇佐の八幡神が京都の祇園に勧請された時、休息されたという広峯神社がある。神社のお札は有名で近郊の家々に配る 御師 おし と呼ばれる集団がいた。その集団に取り入り家伝の目薬の販売で財をなし、播磨の豪族御着の小寺氏の家老となり、姫路を任されたのが黒田氏だ▼今、NHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」が本能寺の変の佳境に差しかかっているが、秀吉に姫路城を差し出し、姫路繁栄の基を作ったのが官兵衛だ。家康は姫路を西国の抑えとして、娘婿・池田輝政に百万石の城を造らせた。これが3代目の現存する姫路城だ▼姫路城は一度も戦乱で破壊されていないので有名だ。太平洋戦争末期、川西航空の工場があった姫路は空襲を受けたが、城は奇跡的に無事だった。黒い大きな素屋根を被った中で、心柱まで取り換えた天守閣の昭和の解体修理後、姫路城は世界遺産に登録された。今回は横から工事の様子が見られる見学施設「天空の白鷺」に覆われ、平成の大修理が行われた。不戦の真っ白な城が戦火で汚されることがないよう、世界中の人々に姫路城を見に来てほしい(水)
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