兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年1月25日(1772号) ピックアップニュース

阪神・淡路大震災から20年 震災の経験語りつごう

 甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災から、1月17日で20年を迎えた。犠牲者を追悼し経験を語り継ごうと、県下各地で多様な催しが行われており、協会も神戸と西宮でそれぞれメモリアル企画を開催した。
理事長談話

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理事長 池内 春樹

 関連死を含めると6434名の尊い命を奪った阪神・淡路大震災から、今年で20年の歳月が流れた。1月17日の早朝だったため、あたりは真っ暗、この時、一本のペンライトの光が何とありがたかったことか。
 鎮魂のために始まった光の祭典「ルミナリエ」に、昨年末久しぶりに行った。震災からの復興を願うためには、今年の1月17日、震災当日から始めたほうが良いのではないか。
 震災当時、私たち医療従事者には、被災者のトリアージと救命が最大の課題であった。震災からの復興のために、協会は西宮・芦屋支部を中心に、会員のみなさまの被災情報の収集、見舞金の贈呈、患者さんの窓口負担減免と医療機関の再建のための補助金の厚生省要請等を行った。保団連からも共済の休業保障制度の活用やお見舞い金を頂き、大変ありがたかった。
 仮設住宅に避難された方の生活再建支援のため、全国災対連と協力して、「個人補償はしない」という国の方針を打ち破り被災者生活再建支援法を成立させたが、阪神・淡路の被災者には遡及適用されなかった。20年目の今日、一番の課題は借り上げ復興住宅からの追い出し問題である。
 協会では全国から寄せられた支援に感謝するとともに、活動期に入った地震大国・日本の現状を保団連大会や代議員会で、全国協会・医会に訴え続けている。
 10年前には新潟県中越地震、4年前には東日本大震災が起こった。協会では30回にわたり、東日本大震災被災者のみなさまへの支援を続けている。兵庫県民主医療機関連合会と協力して行っている、福島原発事故からの避難者の皆さまへの健診も、姫路で行う2月で4回目となる。
 阿蘇山がマグマ噴火し、フィリピンプレートの沈み込みによる歪みの圧力が強まっている。最悪の場合、兵庫県では、2万9000人が死亡し、建物3万7000棟が全壊し、南あわじ市福良では8メートルの津波が押し寄せるという、南海トラフ大震災が心配だ。協会では昨年12月13日、市民公開講座として、神戸大学名誉教授・田結庄良昭先生の「南海トラフ地震で何が起きるのか」を行った。
 震災死を避けるために、阪神・淡路大震災や東日本大震災を語りつごう。
阪神・淡路から東日本・原発事故へ−− 神戸と西宮でメモリアル企画
語り合い経験つなげる

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シンポジウム「巨大災害と人権保障」(神戸)

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被災地の医療・社会保障を考える
パネルディスカッション(西宮)

 協会は、震災20年となる1月17日、神戸でメモリアルシンポジウム「巨大災害と人権保障」、西宮で「20年の集い 阪神・淡路大震災−東日本大震災−原発事故」を開催。あわせて400人が参加し、企画を通じて震災からの20年を振り返った。
 神戸会場では、ライターの古川美穂氏、住江憲勇保団連会長、武村義人兵庫協会副理事長、ひょうご福祉ネットワークの正津房子氏の4氏が講演。「創造的復興」の名のもと震災に乗じて「大資本が食い物にする」被災地の実態、協会・保団連の粘り強い運動によって公的保障を勝ち取ってきたこと、高齢化が進む復興住宅入居者の窮状、被災者に寄り添った復興の大切さが語られた。
 西宮会場では、「震災経験を語り継ぐ・風化させない・新たなつながりを拡げる」ことを目的に、阪神・淡路および東日本大震災についての報告や、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生と映画監督の鎌仲ひとみ氏の特別講演・対談、被災地の医療・社会保障を考えるパネルディスカッション、心肺蘇生実習コーナー、震災の記録展示、被災地の物産品展など、さまざまな企画が行われた。
企画詳報はこちら

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