兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年4月25日(1781号) ピックアップニュース

燭心

 久しぶりに日本医学会総会に参加した。関西での開催は、次はいつになるのか。私にとってはラストチャンスかもしれないと考えたのである▼開会式前夜の会頭招宴。第1部は京都劇場でスーパー能「世阿弥」が演じられた。国立能楽堂が梅原猛氏に脚本執筆を委嘱、2013年4月に初演された新作能で、伝統芸能の醍醐味を満喫した。その後梅原猛氏の特別講演を拝聴。90歳を超え、なおかくしゃくとした哲学者に感銘。第2部はホテルの宴会場でビュッフェ形式。約30年前、大阪での第21回総会の際にすでに君臨しておられた高名な先生方を、再び檀上に見たとき、奇妙な既視感をおぼえた。医学会総会までが、わが国の高齢化社会の縮図なのである▼今回の登録者数は、予定をはるかに下回ったらしい。原因は色々あると思われるが、若い医療者を引きつける魅力が乏しかったのではないだろうか。思いきって、もっと若い人たちに任せてみてもよいのでは▼翌日の開会式では、山中伸弥先生によるiPS細胞の講演。優れた仕事は分かりやすい。その他、分科会で最先端の研究成果が紹介された。ぶらりと覗き見して帰ってきた▼現在専門医会の数は増え続け、認定医や専門医の資格を取得するため多忙な診療時間を割いて、学会や講演会に参加する若い医師は多い。医学会総会にまで手が回らないという声をよく聞いた。次の第30回総会をどんな形にするのか、抜本的な見直しが必要な時期と思われる。(硝子)
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