兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

兵庫保険医新聞

2015年4月25日(1781号) ピックアップニュース

主張  「戦争立法」に反対し憲法守る運動を巻き起こそう

 安倍内閣は、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」(昨年7月)を具体化する一連の法案(安保法制)を、5月の連休明けにも国会に提出する予定である。
 保団連や協会は、この法案に対し、「私たち医師・歯科医師は、憲法を守り戦争しない国・日本を維持すること、軍事偏重でなく、医療・社会保障を拡充させることこそが、『国民の命と平和な暮らしを守り抜く』道であると考える。集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回、与党・共同文書の撤回、安保法制の整備の断念を求める」〈3・20保団連声明〉と、反対の立場を表明してきた。
 集団的自衛権は、海外での武力行使を目的としたものであって、わが国が他国の侵略を受けた際に行使される個別的自衛権とは明確に異なるものである。だからこそ自衛隊による戦力保持を容認してきた歴代の自民党政権においても、集団的自衛権は憲法に反すると退けてきた。
 一片の「閣議決定」でもって憲法解釈をくつがえす安倍首相の手法には、改憲論者の人たちからでさえ「立憲主義の否定だ」ときびしい批判が起こっている。国会の多数で強行することは、断じて許されない。
 法案では、自衛隊の派遣を、今まで「非戦闘地域」に限定されていた歯止めを外し、「戦闘地域」にまで広げる。「攻撃されたらどうするのか」との質問に首相は「武器の使用をする」と答えている。「まちがいなく戦死者が出る」(柳澤協二・元内閣官房副長官補)との指摘の通り、国民が海外の戦争で、殺し殺される仕組みが作られる。
 集団的自衛権発動の判断も「個別的、総合的に判断」と、時の政権まかせであり、国会の承認も「事後でもかまわない」(4・22朝日新聞報道)と、きわめて無限定である。ベトナム戦争やイラク戦争のようなアメリカの引き起こす戦争に、一方的に参戦させられる危険性が高い。
 ひとたび戦争となれば、私たち医療人も動員させられ、決して無縁でない。
 このような、戦争を可能とする法案が、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意」(日本国憲法前文)し、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」(同第9条)と宣言した憲法の理念に反するのは明白である。
 非戦は私たち保険医運動の原点であり、生命を何より尊ぶ医の倫理からも法案は断じて容認できない。
 今、立場を越え、戦争立法反対・憲法を守る運動をすべての会員によびかけるものである。
バックナンバー 兵庫保険医新聞PDF 購読ご希望の方