兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年5月15日(1782号) ピックアップニュース

「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会 市民講座
広告に惑わされず健康管理を
「健康食品」と広告の問題点考える

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群馬大学名誉教授の高橋久仁子先生(上)が、健康食品の宣伝広告により、食品が健康に与える影響を過大に信じてしまうと指摘

 「やせる」「体によい」などと効果をうたった食品広告が氾濫している問題点を考えよう−−。「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会(代表世話人・吉岡正雄協会副理事長)は4月19日に、市民講座「メディアに惑わされない食生活〜氾濫する食情報と宣伝広告の問題性を考える〜」を開催。群馬大学名誉教授の高橋久仁子先生を講師に、市民ら107人が参加した。

 高橋先生は、健康に関連する食情報がマスメディアや産業界から大量に提供され、人々の食生活を混乱させているとし、食べ物や栄養が健康や病気へ与える影響を過大に信じたり評価する「フードファディズム(Food Faddism)」が起こっていると指摘。
 フードファディズムには、(1)健康への好影響をかたる食品の大流行(「それ」さえ食べれば万病解決、あるいは短期間で減量可能と吹聴される)、(2)量の無視(その食品に含まれる「有益・有害成分」の量には言及せず「○○に良い」「××に悪い」と主張する)、(3)食品に対する期待や不安の扇動(個人の状況を勘案せず、ある食品を体に悪いと敵視したり、別な食品を体に良いと推奨・万能薬視する)の三つのタイプがあることを、具体的事例から解説した。
 また、「健康食品」とその宣伝広告が包含する問題性として、(1)有害物質の含有、(2)医薬品成分の含有、(3)一般的食品成分でも病態によっては有害、(4)抽出・濃縮・乾燥等による特定成分の大量摂取が問題を惹起、(5)高齢者の代謝に過剰な負担、(6)医薬品利用者での薬剤との相互作用、(7)食生活の改善を錯覚、(8)生活習慣見直し不要の錯覚、(9)治療効果の過信で医療を軽視、(10)非食品の食品化があげられ、経済被害も無視できないとした。
 さらに、「特定保健用食品(トクホ)」などに限定された食品の「機能性表示」が経済効果を狙って規制緩和され、科学的根拠の乏しい表示で消費者の判断を惑わされることになるのではと危惧を表明。「健康情報」に惑わされず、「適度に動く・寝る・食べる」ことが健康管理の基礎・基本であるとした。
 歯科技工士の雨松真希人世話人が司会進行し、「保険でより良い歯科技工を〜日本の入れ歯を守ろう〜」の提言をもとに長時間低賃金のため離職率が高い歯科技工士の実情を訴え、吉岡代表世話人が「保険でより良い歯科医療」運動についてミニ講演を行った。
 終了後、歯の健康無料相談を開催し、10人の市民から相談が寄せられた。
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