兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年6月05日(1784号) ピックアップニュース

燭心

 安倍政権は、米国が世界中で起こすあらゆる戦争に自衛隊が参戦・軍事支援できる「戦争法案」すなわち安全保障関連法案を国会に提出した。法案は「戦闘地域」での他国軍支援や敵対勢力の妨害を排除する武器使用など、自衛隊の任務を、これまで未経験の危険任務にまで大幅に拡大する▼そもそも従来のイラク派兵でも自衛隊は何回も攻撃を受けており、死者が一人も出なかったのは奇跡的であった。日米同盟があろうとなかろうと、戦闘地帯に戦闘員を派遣すれば犠牲者は必ず出る▼自衛隊発足以来、殉職者は1800人に達するが、航空機や艦船などの訓練による事故死がほとんどで戦死者は一人もいない。災害救助がしたくて入隊希望する人は多くても、戦死してよいと思って入隊する者はいないだろう。戦死者と殉職者を同列視する安倍首相の発言はおかしい。首相は「戦闘現場」になれば撤退すると言うが、撤退には武器を使用せざるを得ず、結果として戦闘に巻き込まれるリスクが高くなる▼「戦争法案」は自衛隊が米軍を助ける法案だが、米国の目的は米国が起こした戦争で米兵の代わりに戦う戦力を集めることだ。第2次大戦で米軍はアングロサクソンを危険任務に就かさないようにするため、最前線で突撃させる部隊として日系人や黒人兵を主体とした部隊を用い、戦後も韓国などの同盟軍を巧みに使ってきた。米国の代わりに戦闘に参加しそして戦死する運命を、自衛隊は受け入れるのか。(海)
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