兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年6月25日(1786号) ピックアップニュース

燭心

 ポツダム宣言が話題になっている。安保法制が審議中の国会で、安倍首相が共産党・志位氏の質問に「つまびらかに承知していない」と答えたものだから海外のメディアなどにも大きく報道された。安倍首相と同レベルというのもしゃくだ。ポツダム宣言、少しひも解いてみたい▼ベルリン近郊のポツダムに米英中3国の首脳が集まったのは1945年7月26日。日本に降伏を勧告する文書・ポツダム宣言が発表された。すでにドイツは連合国に降伏し、日本も敗色濃厚。しかし時の政府はこの勧告を黙殺、「戦争完遂に 邁進 まいしん 」する態度で応じた。広島・長崎での原爆投下を経て8月15日、ようやく宣言を受諾する。歴史に「もし」はないが、原爆の惨禍は避けられたのではないか、と言われる史実だ▼ポツダム宣言は、カイロ宣言(1943年)を引き継ぎ、両宣言は日本の戦争目的を「侵略」「世界征服」と断じている。戦争放棄や基本的人権などの諸原則は、日本国憲法にも取り入れられ、戦犯の処罰や新体制の確立など戦後の民主化の原点となった文書である▼後日、安倍首相は、民主党の細野氏に「(宣言は)当然読んでいる」「受け入れる」と答弁した。2度目の口頭試問、再試験は模範解答でクリアしたつもりだろうが、本当に侵略戦争と加害責任を認め反省するのかどうかが問われるところだ。まもなく70年目のその日がやってくる。全世界の人々の前できちんと答えが言えなければ合格点は出ない(星)
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