兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年6月25日(1786号) ピックアップニュース

主張 歯科医療危機打開は待ったなし全力で運動に取り組もう

 歯科医療危機が叫ばれて久しい。超高齢社会を迎え、健康長寿の実現には口腔機能の維持・増進が欠かせないとされているにもかかわらず、歯科医院の収支は対前年度比「減収」が約4割(2014年度保団連歯科会員アンケート)と経営危機がますます深刻である。その影響は歯科医療に従事するさまざまな職種に及び、とりわけ、歯科技工士においては20〜30歳代の離職率が80%にものぼる状況になっている。低賃金・長時間労働が強いられる結果である。
 一方、格差社会の進行により、経済的理由や過酷な生活環境による受診抑制も深刻である。保団連の行った「歯科医療に関する1万人市民アンケート」(2011年)では、5割以上が歯科の窓口負担が高いと感じ、4割近くが歯科治療を放置している。また、子どもたちにおいても、大阪府歯科保険医協会などの調査(2014年)では、小中学生の半数が学校歯科健診で受診が必要とされたにもかかわらず、治療を受けていないという実態である。
 これらの事態を引き起こした最大の要因は、社会保障改悪と、低医療費政策である。
 患者・国民負担の引き上げと診療報酬の引き下げが、とりわけ歯科医療分野の疲弊に結びついている。歯科医療費の総額は年間2兆5〜6千億円で、20年以上ほとんど横ばいである。この間の高齢化の進行や医療技術の進歩、物価上昇などを考えると、きわめて異常である。
 私たちは、緊急に少なくとも3兆円台に総枠を拡大することを求める。また、窓口負担の引き下げと、保険の利く範囲を広げることで、受診抑制の解消を求める。
 この6月4日、東京で「〝歯は命〟健康長寿社会をめざして 保険で良い歯科医療を『6・4国会内集会』」が開かれ、全国から460人の歯科医療関係者が集った。歯科医療危機打開を求めて、歯科医療にかかわるすべての職種の人々が、市民とともに力を合わせて運動に取り組むことが提起され、歯科技工技術料の大幅引き上げなど6点の要求がアピール採択された。
 来年の診療報酬改定に向けて、待ったなしの要求である。保団連、協会あげての大きな運動にしていきたい。
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