兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年7月05日(1787号) ピックアップニュース

燭心

 昨年紹介した弾力包帯によるリンパ浮腫治療の第2弾を今春受けることになった。日常生活をミイラ脚では過ごせないので、1年間で少しずつ腫れが戻ってきていた。バンテージ療法の限界だった。さらなる根治療法である▼全身麻酔下で6時間。左右下腿に2カ所ずつリンパ管と静脈の吻合術を行った上で、右下肢の皮下から2100mlの脂肪組織を吸引した痕が8カ所残されていた。術前説明では800mlくらい、これも術中貧血になったら減らすという話だった。赤血球は400万から300万に、ヘモグロビンは13グラムから10グラムに減っていた。予定のほぼ3倍の吸引ができ、左右差がほとんどなくなっていた。手術は成功だった▼良いことばかりではない。生皮を剥いで皮下組織を除去し、再び皮膚を圧迫包帯で接着しているので術後の痛みは厳しく、1カ月経過しても絶えずジリジリした痛みに顔が歪む。これも日にち薬。昔の人はうまい表現を考えたものだが、同じ症状で悩んでいる方にお勧めする場合、覚悟が要りますよと言いたい。術後4日目から45気圧の弾力ストッキングを着て夜はこの上からさらにバンデージをする。着脱時の痛みも尋常ではない▼しかし手術の結果には満足している。改めて日本の医療制度のすばらしさを感じるとともに、患者の立場を体感できたと思う。弾力ストッキングの扱いにも慣れてきた。朝夕の着脱時、弾力包帯の操作をあわせ約1時間かかるのが悩みだ(硝子)
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