兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年7月15日(1788号) ピックアップニュース

近畿厚生局と懇談
個別指導監査 "弁護士帯同、録音は可能"  6年ぶりの懇談が実現

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指導、監査の改善を要請する
西山裕康副理事長(奥右側)と
鈴木卓京都協会副理事長(奥左側)

 協会は6月18日、京都協会と合同で近畿厚生局と懇談し、指導、監査の改善を要請。同局医療課は、「弁護士の帯同は認めている」とし、録音についても「指導内容の確認が目的の場合は認めている」との対応を明らかにした。懇談が実現したのは6年ぶり。協会から西山裕康副理事長(当時)が出席した。

 これは、昨年11月に兵庫協会も含めた近畿厚生局管内の9協会が開催した「個別指導・監査弁護士帯同交流会」を受け、兵庫・京都の2協会が決議文のなかに盛り込まれた12項目について改善を求めるとともに、懇談を要請していたことから実現したもの(4月15日付既報)。
 2009年12月に近畿厚生局と保団連近畿ブロックが懇談して以来、これまで協会から近畿厚生局兵庫事務所や厚労省などに個別指導や監査の改善に向けた懇談の申し入れを行ってきたが、実現していなかった。形態は異なるものの、実質的に懇談が実現したのは6年ぶり。
 懇談は大阪合同庁舎で行われ、兵庫協会から西山裕康副理事長、京都協会の鈴木卓副理事長ら4人が出席し、近畿厚生局医療課からは、藤田健医療課長、川勝誠課長補佐、多田順一医療指導監視監査官、篠田典明指導第一係長の4人が出席した。
 個別指導での「弁護士の帯同及び録音」について厚生局は、「保険医療機関が弁護士の帯同を希望した場合は、弁護士には発言・質問等が認められないこと等の一定の条件の下、帯同を認めています。また、録音については、患者の個人情報保護に万全を期する必要があることから、原則として認めていませんが、録音が必要な理由が、保険医自身による指導内容の確認が目的である場合は認めています」と回答し、実質的に可能であることが改めて明らかになった。
近畿厚生局との懇談 詳細
指導後の自主返還 「強制力はない」
 懇談は、12項目の要望事項に対する回答書の読み上げと質疑応答で、予定の30分を超え、50分間にわたって行われた。
 厚生局が、個別指導で弁護士の帯同と録音が実質的に可能と回答したが、帯同した弁護士には発言・質問等が認められないとの条件を示したことに対し、協会は、カルテ内容や診療内容に立ち入れないということであって、人権を守る弁護士として、教育的指導を逸脱する高圧的な指導がされた場合には必要な発言をすることは当然であることを強調した。
個別指導の中断「速やかに再開に努める」
 「個別指導の中断」について、厚生局は「やむを得ず中断する場合...理由を十分説明し...再開時期については...速やかに再開するよう努めている」とし、長期間の中断についても決して適切ではないと思っているとした。
 個別指導の実施について、厚生局は「療養担当規則等に定められている保険診療の取扱い、診療報酬の請求等について周知徹底することを目的とし、懇切丁寧に指導を行っている」と回答。協会は「個別指導は教育目的であるならば、特に初めての指導で自主返還まで求めるのはいかがか」と質問したが、厚生局は、適正を欠くものについては自主返還を求めている、とした。
 「新規個別指導後の自主返還は、任意か、強制か」について厚生局は、行政手続法に基づく行政指導という位置付けでの返還願いであり強制力はない、不明な点があれば問い合わせていただき、十分な理解の上で返還していただくのが筋などと回答した。
指摘事項のウェブ掲載「検討する」
 社保ルールの周知として「関東甲信越厚生局では個別指導時の主な指摘事項を厚生局のホームページにアップし周知している。近畿厚生局でも検討を」と要請したところ、厚生局は「検討する」とした。
 最後に、西山副理事長が謝意を述べ「国民が安心して医療を受けることに関し、同じ考えと思う。今日のような懇談、情報交換を今後も定期的に行わせていただきたい」とあいさつ。厚生局は「保険診療の適正化につながる内容であれば、その都度検討させていただきたい」と述べ、懇談は終始和やかに終了した。
 (役職は6月18日当時のもの。次号に近畿厚生局の回答全文を掲載予定)
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