兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年7月25日(1789号) ピックアップニュース

主張 安全保障法制 いのちと健康を守る医療者として反対の声上げよう

 現在国会で審議中のいわゆる「安保法制」は、集団的自衛権の行使を容認するなど、日本の安全保障政策を大転換させるものだが、日本にとって不要不急の法律で、今国会で成立させる理由は何もない。
 これまでの審議で明らかになった法案の内容は、「油のために」「他国のために」「世界の果てまで」「自衛のために」武力行使をする...つまり「いつでも、どこでも、誰とでも」戦争ができる「戦争法案」であるということである。自国が攻撃されていないのにこちらから攻撃を仕掛けて、専守防衛のはずがない。相手も「自衛のために」遠慮なく攻撃を仕掛けてくるだろう。安倍首相は、抑止力を「戸締まり」や「町内会の協力」にたとえて説明しているが、意味不明である。
 「安保」を解釈の幅の大きい、あいまいな表現で政権に委ねることは、「時の政府が何をしてもいい法律」になる。線引きが不明な対応は、抑止力どころか、必要以上に周辺国の緊張を高めることにつながり、疑心暗鬼を生み、時として相手国に大義名分を与え、武力衝突を誘発しやすい。
 「安全保障環境の変化」などという言葉にごまかされてはいけない。環境が変化したのであれば、まず行うべきは、対話や相互理解を中心とした外交努力であって、「戦争法案」だけを短時間の審議で強行採決するようなバランスを欠いたやり方は、政治家として最も安直な愚策である。
 権力を縛る抑止力としての憲法との整合性に対し、憲法学者、内閣法制局長官OB、弁護士、専門分野の有識者、自民党の重鎮までもがこぞって憲法違反を表明している。また、世論調査では、「安保法制」について8割が「説明不足」、半数以上が「法案反対」という結果となっている。地方議会からの意見書も、大多数が「反対」か「慎重審議」を求めるものである。
 次世代への借金以上の大きな禍根を残すであろうこの「違憲」法案に対し、国民のいのちと健康を守る医療者として、今、はっきりと反対の声をあげよう。
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