兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年8月05日(1790号) ピックアップニュース

どうなる!?新専門医制度 政策研究会に会員・医学生らが参加

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大島先生(左上)が新専門医制度の概要と問題点を解説し、医学生らから活発に質問や意見が出された

 協会は7月25日、2017年4月から新専門医制度の下での卒後研修が行われることを受け、西淀病院(大阪市)院長で日本プライマリ・ケア連合学会理事、同学会専門医制度推進委員を務める大島民旗先生を講師に招き、政策研究会「どうなる新専門医制度−総合診療専門医を中心に」を開催。医師・歯科医師をはじめ、医学生ら40人が参加した。
 大島先生は新専門医制度について分かっていることとして、原則として医師は総合内科や外科など18の基本領域からどれか一つの専門医資格を取得すること、その上でさらに研修を重ねて糖尿病、消化器外科など34のサブスペシャリティ領域の専門医資格を取得することができる制度設計となること、研修施設はベッド数、指導医数の基準により認定されること、専門医認定試験は症例レポートや主として多分野の知識を問う多肢選択問題による筆記試験によることを挙げた。
 また、制度設計や専門医認定を行う日本専門医機構は各学会と具体的な認定基準を整備しており、小児科や外科などではすでに公表されており、他の科についても今後公開されると解説した。
 総合診療専門医については、研修目標として人間中心の医療・ケア、包括的統合アプローチ、連携重視のマネジメント 地域志向アプローチ、公益に資する職業規範、診療の場の多様性の六つが現在挙げられていると述べた。
 また、総合診療専門医ができたのは、政府が医療費抑制のために病床削減を進め、その受け皿とする在宅医療を担わせるためだと解説。
 さらに、これまでの医師数抑制政策により、他の先進諸国に比べ日本の医師数は少ないが、政府は少ない医師で医療提供を行うために、新専門医制度で標榜科ごとの医師数管理を行おうとしていると述べ、専門医の質の向上は必要だが、病床削減や医師偏在の解消を目的にすべきでなく、医療・社会保障費の引き上げと医学部定員増を行うべきだと述べた。
 新専門医制度で懸念されることとして、専門医資格の取得や更新ができる医療機関に医師が集まることになり地方の中小医療機関では医師不足に拍車がかかること、「専門医資格のある医師」と「ない医師」で、将来的に行うことのできる診療内容や診療報酬が差別化される可能性があることなどを挙げた。
 質疑応答では、参加した医学生から「総合内科専門医」と「総合診療専門医」はどう違うのかなどの質問が出され、活発なやりとりが行われた。
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