兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年8月25日(1791号) ピックアップニュース

反核医師の会が総会 安倍政権の安保法制問題を対談
元自衛官 泥 憲和氏 × 作家 中沢 けい氏

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元自衛官の泥氏(左)と作家の中沢氏(右)が安保法制の問題点などを議論

 核戦争を防止する兵庫県医師の会(反核医師の会)は8月2日、協会会議室で第34回総会を開催。記念企画では、作家で法政大学教授の中沢けい氏と、元自衛官の泥憲和氏が、「日本の平和、人権、言論を考える」と題して、対談を行った。会員・市民ら94人が参加した。
 対談に先立ち、まず両氏がそれぞれ講演を行った。
 泥氏は、元自衛官としての視点から、安倍政権が推し進める安保法制に反対すると主張。法案で自衛隊が守ると記されているのは、米艦船に乗っている民間人ではなく、アメリカの武器や艦船と明記されていることを示した。また民間人の保護は現在でも自衛隊法82条により可能とし、集団的自衛権で、安倍首相が守るべきと考えていることは、日本国民ではなく、米艦船であることが明らかであり、首相の説明は国民を欺いていると批判した。
 中沢氏は、自身がヘイトスピーチに反対するなどの運動に取り組むようになったきっかけについて語った。大阪での外国人参政権に反対するデモや右翼によるヘイトスピーチが起こる問題の根底に、日本の近現代史と先の大戦について国民の中で共通認識が作られていないために、 齟齬 そご や誤解、混乱が生じており、現代の日本国がどのように成立したのかを、改めて広い世代で確認することが重要とした。
 対談で泥氏は、ジブチなどの外国に派遣されている自衛隊について、海外に派遣された自衛隊員のうち、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症するなどした隊員へのケアが不足していると、政府の不十分な対応を指摘。
 中沢氏は、安倍首相の主張の背後には、集団的自衛権を合憲とする財界人・学者・宗教家らでつくる団体「日本会議」の存在があるとした。また、集団的自衛権の行使を容認する場合にも、国民間の議論を出発点にして憲法を改正するのが筋だと語った。
 総会議事では、代表に郷地秀夫協会理事が、運営委員長に近重民雄協会副理事長がそれぞれ再任された。議論では、原子力発電も原子力災害を引き起こしうるばかりか、核保有への道を開くものであり、核兵器廃絶を求める取り組みとともに、原発再稼働にも反対していくなどとする活動方針が確認された。
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