兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年10月25日(1796号) ピックアップニュース

燭心

 わが医院の駐輪場の軒に、ハチが巣作りを始めたのが初夏の頃である。アシナガバチという、どこにでもいる種類のハチである。最初は1匹の母バチだけだったが、やがてひと月もたつと、羽化した子バチが巣作りを手伝いだした。盛夏には巣は直径10㎝くらいになり、数十匹のファミリーに成長しだした▼インターネットで調べてみたが、おとなしいハチである。事実私が近寄って観察しても、襲ってきたりはしない。母バチは、幼虫たちにせっせと餌を運んできては食べさせているようだ。もちろん危害を加えるようなことをすると毒針に刺される。個別的自衛権はちゃんと持っていながら、専守防衛に徹しているのが立派だ。時あたかも安保法制が論議されている最中、何ともこのハチが、いとおしくなってきた▼患者さんから、巣を取り払ってと言われたこともあったが、子育てが終わるまで見守っておいてあげてほしいとお願いをした。臨時の駐輪場も作った。その矢先である。今月初めの強風の吹き荒れた日、一夜明けると巣が飛ばされてしまっていた。落ちたわが家に未練があるのか、何匹かのハチがしがみついていたのがあわれである▼振り返って人間界を思う。この夏、数の暴風がハチならぬキュウ(条)を吹き飛ばしたかのようだが、われわれには力を合わせて暴風に立ち向かう英知もあるはずだ。後日談だが、わが医院のハチたちも寄り集まってまるで何やら相談している様子、負けてはいられまい(星)
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