兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年11月25日(1799号) ピックアップニュース

燭心

 11月23日は勤労感謝の日、日時が固定された数少ない祝日だ。収穫物に感謝する行事として飛鳥時代に始まった「 新嘗祭 にいなめさい 」が天皇行事・国事行為とされ、GHQの占領政策で現在の形に。労働と収穫物に感謝する日になった▼「日本国憲法」には、国民の義務として労働・納税・教育が規定されている。労働の義務には権利規定もある。西欧では宗教改革の影響で「労働は神聖なもの」「働くことは神のご意志」とされその影響もあるそう。失業や労働者が生活できないような条件での勤労は、国が国民に権利を保障していないことになり、憲法違反である。これが理解できれば何となく、義務とされる労働の意味が分かる▼賃金労働者の4割が非正規労働者と厚生労働省が発表。定年後再雇用、パート、派遣社員などは、賃金だけでなく、公的医療保険・公的年金の全てで、正規労働に比べ条件が悪くなる。パートになった要因が〝家族の介護のため〟というのも多いらしい。企業側の理由は「人件費節約」。自民・公明の税制調査会は法人税をこの2年間で3.3%引き下げるとした。理由は設備投資の拡大と、賃金を上げるためという。明らかに矛盾する施策が堂々と進められる悲しい事態▼労働に従事しその賃金で楽しい暮らし・子育てをし、老後の心配もなく過ごせる、この当たり前のことを行うのが政治だ。国民を貧困にし、不安にし危険にさらすような政治は政治家の労働・使命に反する。感謝に値せず。(無)
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