兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2016年1月05日(1802号) ピックアップニュース

燭心

 去る秋の一日、母の13回忌の法事で故郷へ帰った。法要に先だち、住職から思いがけない話を聴く。過去帳を調べていくと、祖父の百回忌に当たり、母と祖父の法事を同時に執り行うという。一般人の百回忌の追悼式は極めて珍しいそうだ▼医師だった祖父は43歳で亡くなった。数年前に祖母も他界しており、父を頭に3人の子が遺され、山林や田畑とともに親類の家に引き取られ育てられたという。男の子2人は大学へ進学、父は医師、他は教師となった。遺産があったとはいえ、他人の子を育て最高の教育を受けさせてくれたことに感謝している。その3人も私の幼年期に亡くなり、住職は先代や村の古老から話を聞いたようである。こういう次第で、出席者は誰も見たこともない祖父を百回忌で偲ぶことになった▼もしも子に遺産がなかったら、どんなにか悲惨な人生をおくることになっただろう。現在子どもの貧困が悪化し、非正規雇用や母子家庭の子が貧困から抜け出すことが難しい時代になっている。貧困は子の責任ではない。国は教育を受ける機会を子どもに無償で提供すべきだ。返済義務のない奨学金を出し、将来に夢と希望を与えることで貧困の悪循環を断ち切れる▼消費税の軽減税率など小手先の細工を止め、贅沢品や高級車両などの税率を引き上げ、資産家から社会へ還元してもらってはいかがか。補助金ばらまきではなく、きめ細かい対応を行って、次世代の貧困化を阻止していきたいものだ(硝子)
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