兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2016年2月15日(1805号) ピックアップニュース

燭心

 北朝鮮は2月7日、「人工衛星」の名目で事実上の長距離弾道ミサイルを、朝鮮半島北西部より発射した。2012年12月12日以来、約3年ぶりである。北朝鮮は今年の1月6日には核実験を行っており、今回の行動は核兵器の開発と不可分に結び付いた軍事行動である。そして、国際平和と安全に深刻な影響を及ぼす行為である▼いきなりミサイルが飛んできて、核爆弾によって深刻な被害がもたらされる様子は、想像するだけでも心臓が凍るようで恐ろしい。ミサイルの発射ボタンを握っている北朝鮮は、拉致問題などを引き起こした独裁国家である。広島・長崎の悲劇はB−29爆撃機襲来後しばらくたってからであったが、長距離弾道ミサイルで攻撃されると訳も分からないうちに災禍に見舞われる。この核戦争システムは世界中から核兵器を撤去することにより無力化するしかない▼しかし、日本政府はこの恐怖にミサイル防衛で対応しようとし、国民に向けてミサイル防衛体制について盛んに宣伝している。中谷防衛大臣は今回のミサイル発射に対応するために、日米の同盟調整メカニズムを活用したことを認めた。この中では、自衛隊を事実上米軍の指揮下に組み込む体制が確保されている。このミサイル防衛体制の整備に12年間で1兆3500億円もの巨費が支出されているが、効果には疑問がある。日本政府が力を入れるべきは、唯一の被爆国として核兵器廃絶へイニシアチブを発揮することだと考える。(海)
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