兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2016年3月15日(1808号) ピックアップニュース

談話 東日本大震災から5年
暮らし・心の復興を  理事長 西山 裕康

1807_04.jpg 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から、5年が経つ。
 今なお17万人以上が避難生活を余儀なくされ、兵庫県でも856人が故郷を離れて生活を送っている。岩手・宮城・福島の3県で5万8000人がプレハブの仮設住宅で暮らし、仮設住宅が5年で姿を消した阪神・淡路大震災と比べると、生活の基盤である住まいの再建は遅れている。転居が進むにつれ、仮設住宅に残された社会的弱者、特に単身高齢者のコミュニティー崩壊が進み、孤独死の増加といったような問題も発生している。
 福島からの県外避難者は今でも4万人を超え、福島第一原発の廃炉や汚染地域の除染もままならないなか、電力各社と国は賠償の縮小を画策し、全国各地で原発再稼働を進めている。
 インフラなどの「外身」ではなく、住居・暮らしと心といった「中身」の復興に重きが置かれた政策が求められる。
 兵庫協会は、阪神・淡路大震災の経験を生かそうと、東日本大震災後、仮設住宅などへの訪問活動、健診やコンサートをつづけてきた。県内では兵庫県民主医療機関連合会と協力して、避難者への健診も継続している。
 私を含め、現地に赴けなかった会員がほとんどであろう。ただ、阪神・淡路大震災を経験した人は、その窮状を理解し、共有することができるだろう。また、たとえ自身が被害を受けていなくても、日々の診療の中で、患者さんの病気だけでなく、生活環境を含め、その悩みや苦しみに寄り添うことの多い開業医は、想像する力や思いやりの心を持ち合わせているはずである。それは医師の本質、責任といってもいいかもしれない。
 日々前に進まざるを得ない被災者たちに寄り添い、私たちは何ができるのか。まだ何も行動したことのない会員も、できることはあるはずである。被災地への寄付、生産物の購入、被災地への旅行...少しでもいいから始めてみよう。そして長く続けよう。
 被災者から目を背けずに、現状を知り、想像し、忘れないことが大事である。
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