兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2016年5月25日(1814号) ピックアップニュース

インタビュー(4) 診療報酬改定 −入院から在宅へ?−
「小児かかりつけ診療料」 医療機関の連携崩しかねない仕組み

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医療機関が連携して小児医療を守ることが大切と話す小嶋敏誠先生(左・内科)・みち先生(右・小児科)

篠山市・小嶋医院 小嶋 敏誠先生・みち先生

 今次改定で、「小児かかりつけ診療料」が新設されました。この点数は同意を得て3歳未満の患者さんの「かかりつけ医」となり、日常の診療の他、24時間の電話対応、予防接種などのアドバイスを行えば、包括で点数が算定できるというものです。
 篠山市では小児科医が少ないなか、複数の医療機関が連携して地域医療を支えています。しかし、この診療料では、一人の患者さんは一つの医療機関しか「かかりつけ医」を登録できないため、診療所間で患者の「囲い込み」のようになって、関係悪化につながりかねない仕組みだと感じています。
 また、「かかりつけ医」が24時間365日、自院で全て対応しなければならないとなると、負担が非常に重くなります。皆で助け合って支えている現在の地域医療を崩してしまいかねません。
 患者さんが受診する医療機関を自由に選べなくなって、利便性を損なってしまうのではという心配もあります。当院では小児科の診療は午前中だけで、午後は内科での対応となるため、夕方は他の先生を受診する患者さんもいます。今回の改定では他医療機関の受診を制限するわけではないとされていますが、患者さんが「かかりつけ医」以外の医療機関にかかれないと思い、他院の受診を控えてしまうかもしれません。
 どう対応すべきか悩み、市内の小児科の先生やささやま医療センターなどに相談しました。皆さん同じような思いを持っておられ、「小児かかりつけ診療料」の説明文書の書式を統一し、医療機関が連携して小児医療を守るよう努めていることを明記し、他医療機関の連絡先も示しています。
 一医療機関ではなく、皆で地域の小児患者さんを診られるような仕組みが必要ではないかと感じます。
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