兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2016年5月25日(1814号) ピックアップニュース

第89回評議員会 社会保障充実で安心の社会を

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6月の総会に提出する方針案などを確認した

 医療・社会保障再生へ連帯広げよう−−。協会は5月15日に第89回評議員会を協会会議室で開催。評議員ら106人が参加し、2015年度会務報告と2016年度方針案、予算案、規約等改定案の総会上程を可決した。特別講演として「本当の医療崩壊はこれからやってくる」をテーマに、外科医で、前埼玉県済生会栗橋病院院長補佐の本田宏先生が特別講演を行った。

 西山裕康理事長は開会あいさつで「TPPやタックス・ヘイブンに見られるような、行き過ぎた資本主義、グローバリズム、新自由主義的政策がもたらす貧困と格差を是正し、弱者を守ることこそ国家の役割だ。社会保障費の削減と消費税増税ではなく、消費増税の中止、能力に応じた負担、社会保障の充実により安心安全の社会を作り出してこそ、経済も活性化し、デフレからの脱却も可能だ」と述べ、活動の重点として、(1)会員拡大、(2)「ストップ! 患者負担増」署名活動、(3)熊本地震への支援の三点を強調した。
 武村副理事長は会務報告・方針案について、「引き続き協会が『頼りになり、役立つ協会』となるよう努め、社会保障制度の拡充、震災被災者の生活と医療機関の再建、消費税の再増税阻止、憲法と平和を守る運動に力をつくす」などと提案した。
 質疑応答・討論では、「今次診療報酬改定の『通院・在宅精神療法』の問題点」「熊本地震の被災状況」「患者署名への取り組み」「『保険でより良い歯科医療を』兵庫連絡会の取り組み」「建物解体工事におけるアスベスト飛散問題」「兵庫医科大学病院入会の取り組み」、支部活動の紹介など、18人が活発に発言した。
 会では、会務報告・方針案・予算案、規約等改定案を第48回総会への提出議決とすることを可決し、患者、介護利用者負担増計画をやめること、診療報酬の不合理是正を行うことなどを求める決議を採択した。

本田宏前済生会栗橋病院院長補佐が特別講演
〝日本の医療費は高くない〟
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「医療費は高い」「医師不足の原因は偏在」などのウソを明らかにした本田先生

 特別講演を行った本田宏先生は、36年間続けてきた外科医を引退し、医療再生や安保関連法廃止のための市民活動に全力を投じていると自己紹介した。
 自分自身もそうだったとふり返りながら、多くの日本人は、メディアや政府の情報を鵜呑みにしてしまう傾向があると指摘。「医療費増大は深刻で削減が必要」「医師不足の原因は偏在」などを信じてしまっているが、実際は、日本の医療費は高齢化の進行に対し先進国中最低レベルに抑制されており、逆に自己負担は世界最高で、薬剤・医療機器は世界一高いこと、医師数も先進国平均と比較すると11万人も不足していることが現実などと、具体的なデータを示して明らかにした。
 さらに、歴史を振り返ると、日本の政治は戦後71年を通じてごく一部の人間の利益を守る構造となっており、これは社会保障費抑制だけでなく、TPPや原発再稼働、安保関連法などに共通する問題点であるとして、これらの問題点を多くの人々に伝え、国民の「連帯」を広げていかなければならないと力強く訴えた。
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