兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2016年8月05日(1821号) ピックアップニュース

女医の会インタビュー 20
病児保育を広げ安心できる子育てを

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毎月変わる装飾はスタッフの手作り

三木市  神澤 光江先生

 小児科を開業して34年。10年前に、保護者が仕事などで病気の子どもの面倒を見られない時に預かる「病児・病後児保育室ノア」を開設し、看護師4人、保育士5人と一緒に日々がんばっています。
 もともと病児・病後児保育のことを外来小児科学会などで聞き、ずっと関心を持っていましたので、三木市から「市の委託で病後児保育室を開設しないか」とお話があった時、すぐに決心しました。病後児はある程度回復すれば保育所に預けることもできますので、病気中の子どもを預かる病児保育室こそが重要だと思い、市に働きかけました。
 当初は三木市在住の方のみを対象にしていましたが、西脇市や相生市など他市町から三木市に通勤されている方からも利用希望があり、対象を拡大しました。子どもは病気にかかりやすく、特に冬場はキャンセル待ちが何件もあります。働く保護者から病児保育がいかに必要とされているかが分かりますね。
 まだまだ病児保育室は足りていません。病児保育室を併せて運営している医療機関もありますが、市の助成金があっても経営は厳しいと聞きます。保護者が安心して子育てができるように病児保育が広がってほしいですし、国や自治体にはもっと力を入れてほしいですね。
 子どもたちの食生活や家庭環境など、診察以外のことに関われ、スタッフと一緒に「どうしたらより快適に過ごしてもらえるのか」を考えることにやりがいを感じています。全国の経験を交流する全国病児保育研究大会は学ぶものが多く、参考になる取り組みは持ち帰り実践しています。
 私自身も5人の子育てをしてきました。幸いにも両親が近くに引っ越してくれたので、病気など困ったときには頼ることができましたが、診療以外にも勉強や毎朝のお弁当づくりなど、「男性の3倍はやらなければ」と必死にがんばりました。そのおかげか、子どもたちはそれぞれ進みたい道を歩んでいます。
 最近は、女性の先生に病院に残ってもらおうと、院内保育所や復帰プログラムなどいろんな工夫がされています。「やりたい」という気持ちが大切ですから、あきらめずにがんばり続けてほしいですね。
 協会の研究会は毎回魅力的なテーマでぜひ参加したいです。共済制度もとても優れていますので、これからも頼りにしています。
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