兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2017年1月05日(1834号) ピックアップニュース

燭心

 2017年の干支は酉。この字はもともと方角を示すものであって、動物の鳥や鶏を示すものではなかった。いつの頃からか、飛鳥時代の古墳の装飾にはすでに、十二支にあてられた動物が描かれている。古代の鳥は鶏だったのか、尾長鳥ではなどと考えている。柿本人麻呂の「あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」から推察してみた▼筆者は触れるのも食べるのも鳥は苦手である。子どもの頃の怖い夢は、羽毛を抜かれた鶏に追いかけられる夢だった。大学生の頃ヒッチコックの「鳥」という映画を観たが怖かった。以来鳥嫌いは高じ、今でも鶏肉は敬遠している▼渡り鳥の飛来でもたらされたと思われる、毒性の強い鳥インフルエンザがあちこちで発生している。多くの鳥が殺処分され、肉や卵の移動が禁止されているという。防疫上仕方あるまいが、比較的安価な蛋白源で、日本では調理法の極めて多い食材であるから、鶏肉や鶏卵の制限は庶民の生活を脅かす。防疫には手を尽くしてほしいものである▼矛盾も極まるのであるが、テレビなど映像上できれいな鳥を観るのは好きだ。自然界で身体の色の美しい動物は、鳥類であろう。地上に生息する動物たちは、目立ちにくい保護色が多いのと対照的である。オスの派手な色は一種の婚姻色と考えられている。派手な色は天敵に見つかりやすいが、そのリスクより子孫を残すことを優先させた自然の摂理なのか。酉年の年頭に想う。(硝子)
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