兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2017年1月05日(1834号) ピックアップニュース

女医の会インタビュー 21
生活もキャリアも大切にできるように 兵庫区 小紫 由利

1834_01.jpg 「身近な精神科医」として住宅街で開業し21年が経ちます。昔に比べ精神科受診への抵抗感もなくなってきましたし、女性医師ということもあってか、「よく眠れない」などの悩みを抱えた主婦の方もよく相談に来られています。
 他にも、精神科訪問看護ステーションと連携し、退院した患者さんを在宅で診たり、救護施設や特別支援学校の嘱託医なども務めています。
 娘を産んだときは勤務医で、働きながらの子育ては大変でしたが、母親をはじめ家族の協力がありがたかったです。年末ギリギリまで働いて1月に出産し、3月には常勤として職場復帰しました。実務経験が要件となる精神保健指定医制度が始まった頃で、「早く一人前にならなければ」と焦っていたのかもしれません。
 医師をめざす女性が増えているのはうれしいことですね。ただ、医師の仕事は当直や深夜の呼び出しなどもあり激務です。もし政府が議論しているように、医療機関の開設や保険医登録の要件に、へき地での勤務経験などが加われば、医師としてのキャリア形成と、結婚や出産などの私生活と、どちらを優先すべきか悩んでしまうのではないかと心配です。
 より良い医療を提供するためには、医師もライフワークバランスを大切にする必要があると思います。ライフワークバランスやキャリア形成を考える際に「女性」という観点を外してはいけません。
 政府の患者負担増計画について、協会も署名などに取り組んで反対されていますが、本当にひどいですね。この地域は個人商店の元経営者などが多く、収入は国民年金の月数万円のみという方も少なくありません。処方された薬を少しずつ飲んで受診回数を減らす患者さんもいて、重症化につながる危険があると思います。お金の心配なく、安心して受診できる制度に変えないといけませんね。
 協会で理事長をされていた故・朝井榮先生は、大学の大先輩で同じ兵庫区の精神科医ということもあり、大変お世話になりました。また、先生が阪神・淡路大震災発生時に被災された方の心のケアを懸命にされていたことを覚えています。自治体による借上復興住宅からの被災者の追い出しが進められていると聞いて驚きました。朝井先生のご遺志もあってだと思いますが、協会も入居の継続を求める取り組みをしているとのことで、がんばってほしいです。
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