兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2017年4月05日(1842号) ピックアップニュース

県議会 マル老の継続求める協会の請願
自・公・連合3会派により不採択に

 協会が兵庫県議会に提出していた老人医療費助成制度(マル老)の存続を求める請願が、3月24日の本会議で不採択となった。請願紹介はきだ結県会議員(共産)と、丸尾牧県会議員(無所属)の2氏。
 審査は3月2日、同22日の健康福祉常任委員会で行われた。請願採択を主張したのは共産党のみで、維新の会は継続審議、自民・公明・ひょうご県民連合(民進)の3会派は不採択を主張。24日の本会議で確定した。
 審査にあたって、県当局(医療保険課)は、「健康寿命が伸び、74歳以下は稼働年齢と位置づけている。65歳から69歳を老人とはせず、廃止することにした。特別な配慮を要するものとして稼働できない者に対しては新制度で対応する。また、現在、制度を受給している者に対しては、経過措置を設け、69歳までは受給できるようにした。特定健診やヘルスケアポイント等健康づくりの施策を推進していく」と説明した。

マル老継続求める請願に対する県・各会派の見解
県「65〜69歳は稼働年齢」
 兵庫県の老人医療費助成制度(マル老)は、所得制限により2種類あるが、県の廃止案は、低所得Ⅰを新制度として残すものの、低所得Ⅱに「要介護2以上」という身体要件を新たに追加するもので、県当局自身が「低所得Ⅱの対象者は現在の8千人から数百人程度になる」と認めており、実質的には低所得Ⅱの廃止に等しい。
 協会のマル老存続を求める請願に対して、県議会の各会派はそれぞれ見解を表明した。
 賛成した日本共産党のいそみ惠子県会議員は、「請願団体(兵庫県保険医協会)は、地域の医療をになう開業医師、歯科医師ら約7300人が加入しており、『受診抑制による重症化が心配』『かえって入院患者が増える』『到底受け入れがたい』などの声が寄せられている」などとして採択を主張した。
各会派の態度表明
(3/2健康福祉常任委員会)

自由民主党

 平均寿命が伸び、74歳以下は生産年齢になっている。自立できない、あるいは生活できない者に対しては新制度で対応するので、請願は不採択とする。

公明党・県民会議

 健康寿命の伸びなど社会の変化はあるが、老人医療費助成制度は、もともと特別な配慮が必要なものとの考え方により実施されてきた。健康や所得の増加などにより制度が不要になるような段階で廃止とすべきものだ。新制度は、要介護1以下に働けと言っているように受け取れる。しかし、県は当会の考えに理解を示してすでに修正していただいている。請願の含意は理解できるが、採択については不採択とする。

ひょうご県民連合(民進)

 時代の変化に応じて、制度を見直すのは当然のことだ。65歳から69歳の制度廃止は評価できる。本来は全部廃止すべきだが、困難な人に対しては新制度で対応でき、経過措置もあるので請願は不採択とする。

維新の会

 現行制度は仕事をしている人も対象にしているが、要介護2以上として仕事をできない人に限定していいのか。「要介護2以上」の影響について慎重に検討すべきではないか。請願は継続審議としたい。

日本共産党

 老人医療費助成事業は、すでに所得制限できわめて所得の低い者に限られている。これ以上、制限する必要はまったくない。請願者は、県下7千名以上の医師の団体であり、医療現場からの請願は重い。実際に、受診抑制になるなどの指摘が多く寄せられている(...協会の会員署名の声を紹介)。共産党は採択すべきものと主張する。低所得Ⅱの対象は、年金月額5万円、就労7万円程度で、家賃5万円を払えば生活保護水準以下になる。この指摘は正しいか、確認したい。(※県は、「2人世帯の場合、例えば夫が200万円で住民税非課税、妻が年金70万円の場合、妻が対象になる」などと回答)
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