兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2018年2月15日(1869号) ピックアップニュース

第34回地域医療を考える懇談会in姫路
医療圏統合がもたらす医師不足

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中・西播磨が抱える医師不足などの問題を語る(左上から時計回りに)松浦伸郎先生、石橋悦次先生、高森信岳先生と司会を務めた京寿学先生

 中播磨・西播磨医療圏の統合で地域医療はどうなる−−。姫路・西播支部は地域医療部と共催で、2月3日、第34回地域医療を考える懇談会「中・西播磨医療圏の現状・課題と兵庫県保健医療計画の改定」を姫路市内で開催し、地域の公立病院・私立病院、診療所などから医師・歯科医師ら60人が参加した。3人の演者の話題提供を受け、兵庫県が計画する中播磨圏域と西播磨圏域の統合による地域医療への影響について、出席者はそれぞれの地域が抱える課題などを紹介しながら意見交換した。

西播磨の医療さらなる低下を懸念
 懇談会では、石橋内科院長・広畑センチュリー病院理事長の石橋悦次先生(姫路市)、室井メディカルオフィス院長の高森信岳先生(揖保郡)、松浦診療所院長の松浦伸郎先生(姫路市)が話題提供。きょう整形外科医院の京寿学先生(相生市)が司会を務めた。
 石橋先生は「中・西播磨医療圏の現状と課題」をテーマに、兵庫県地域医療構想や兵庫県医療審議会保健医療計画部会などの資料を紹介。両医療圏の統合が打ち出されているが、統合により、西播磨地域の病床が姫路市に流出し、地元で入院ができなくなるおそれや、現在でも県下で最も不足している西播磨の医師数がさらに減少する危険性があるとした。そして、赤穂市民病院を中心とした「赤穂サブ医療圏」を設定しても必要な医療を提供できるのか、疑問を呈した。また、姫路市は医学部進学者数が多いにもかかわらず、卒業後に地元に戻っていない実態を紹介した。
 高森先生は「西播磨地域医療圏 有床診療所の立場から」をテーマに報告。ハードルの高い、当時の有床診療所の病床認可について、自ら経験を紹介。有床診療所は地元に密着した医療を提供するなど重要な役割を果たしているにも関わらず、経営上の困難から全国的に病床が大きく減少していると現状を語った。
 松浦先生は「中播磨の医療の現状と課題」をテーマに、自身が診療所を開設している姫路市夢前町の少子高齢化に付随する課題を報告。姫路市中心部から10数㎞北にある夢前町は、市町村合併により姫路市に統合されたが、それにより公共交通機関などの行政サービスが低下。診療所、医師、看護師が市南部の市街地へ集中しているため、地域住民が救急などの必要な医療を受けることが難しくなっていると語った。
 ディスカッションでは、佐用中央病院院長の林充先生から西播磨地域では岡山県や鳥取県からの入院・外来もあるが、県の必要病床数にはその点が反映されていないとの指摘がされ、公立神崎総合病院の宮原誠二院長から、中播磨北部地域では医師に加えて看護師不足のため病床の維持ができない点が深刻であると発言があるなど、それぞれの地域が抱えている課題が報告された。
 翌日には、同会場で協会移動理事会を開催した。
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