兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2018年3月25日(1873号) ピックアップニュース

2018年度 診療報酬改定の要点〈医科・歯科〉

2018年度 診療報酬改定の要点〈医科〉
「かかりつけ医」評価口実に分断
 2018年度診療報酬改定で、4月1日から実施される新点数について、特徴や問題点を掲載する。
 2018年度の診療報酬改定率は全体マイナス1.19%となり、4回連続のマイナス改定となった。厳しい医療機関経営が依然として続くなか、協会・保団連は「技術料を中心とした10%引き上げ」を求めてきたが、本体部分はわずかにプラス0.55%(医科は0.63%)と、疲弊した医療機関経営の改善にはほど遠いプラス幅である。
 改定内容としては、「外来医療の機能分化」「かかりつけ医機能の評価」などが重点とされている。これまでの改定に続き「入院から在宅」「医療から介護」への誘導など、医療費抑制のための改定メニューが特徴といえる。
 以下に主な改定項目を紹介するが、詳細は保団連発行『点数表改定のポイント』を参照されたい。なお、届出が必要な点数には「(要届出)」、届出は不要だが施設基準を満たす必要がある点数には「(要基準)」と記載した。

〈主な改定項目〉
1.初・再診料
〈初診料〉
(1)かかりつけ医機能を有する医療機関への評価として、機能強化加算(80点)が新設された(要届出)。診療所または許可病床数が200床未満の病院であって、地域包括診療加算、地域包括診療料、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料(在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院に限る)のいずれかを届け出ている医療機関で算定できる。
 小児科外来診療料(小児かかりつけ診療料を届け出ている場合に限る)、小児かかりつけ診療料を算定する患者の初診時にも加算できる。
(2)妊婦加算(75点)が新設された。診療科を問わず、妊婦に対して初診を行った場合に算定できる。
(3)時間外加算、休日加算、深夜加算、時間外特例加算について、診療科を問わず、妊婦に対して初診を行った場合も、乳幼児の場合と同様に、それぞれ通常より高い点数(200点、365点、695点、345点)を算定できることとなった。
 産科または産婦人科を標榜する医療機関については、標榜診療時間内であっても、厚労大臣が定める夜間、休日、深夜に妊婦に対して初診を行った場合には、産科・産婦人科特例加算として、それぞれ200点、365点、695点を算定できることとなった。産科または産婦人科以外を担当する医師が診療した場合も算定できる。
〈再診料〉
(1)妊婦加算(38点)が新設された。概要は初診料と同様。
(2)診療科を問わず、妊婦に対する再診を行った場合の時間外加算、休日加算、深夜加算、時間外特例加算や産科・産婦人科特例加算も、初診料と同様の改定が行われた。
(3)地域包括診療加算及び認知症地域包括診療加算(以下、地域包括診療料及び認知症地域包括診療料も同様)が再編され、点数が「1」と「2」の2区分とされた。
 「1」については、外来診療から訪問診療への移行に係る実績要件が導入された。往診または訪問診療の対象患者に対しては、24時間対応可能な連絡先を提供し、患者または家族等から連絡を受けた場合は、往診または外来受診の指示等、速やかに必要な対応を行う必要がある。
 「2」については、在宅医療の提供及び当該患者に対し24時間の連絡体制を確保している等の要件を満たした場合に算定することとされた。
 「1」「2」とも、従前の施設基準の選択的要件の一つである医師配置要件が、「常勤2名以上」から「常勤換算で2名以上、うち1名以上が常勤」に緩和されたほか、「抗微生物薬適正使用の手引き」(厚労省健康局結核感染症課)を参考に、抗菌薬の適正使用の普及啓発に資する取り組みを行うこととされた。
 他の医療機関への入院または介護老人保健施設への入所に際して薬剤の適正使用に係る連携を行った場合の評価として、薬剤適正使用連携加算(30点)が新設された。
〈オンライン診療料〉
(1)リアルタイムでのコミュニケーションが可能な情報通信機器を用いて診察を行った場合に算定できるオンライン診療料(70点)が新設された(要届出)。月1回を限度に算定する。
 以下のいずれかの管理料等を算定する患者であって、当該管理料等を初めて算定した月から6月以上を経過し、かつ同6月の間、オンライン診療を行う医師と同一の医師により毎月対面診療を行った患者に対して算定する。
 特定疾患療養管理料/小児科療養指導料/てんかん指導料/難病外来指導管理料/糖尿病透析予防指導管理料/地域包括診療料/認知症地域包括診療料/生活習慣病管理料/在宅時医学総合管理料/精神科在宅患者支援管理料
 上記の管理料等を初めて算定した月からすでに6月以上経過している場合は、直近12月以内に6回以上、同一医師と対面診療を行っていればよい。
 対面による診療の間隔は3月以内であり、オンライン診療料を3月連続では算定できない。初診料、外来診療料、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)を算定する月は算定できない。
 対面による診療とオンラインによる診察を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づきオンライン診察を行った上で、その診察内容、診察日、診察時間等の要点をカルテに記載する。当該診療計画に基づかない他の傷病に対する診察は、対面診療で行うことが原則であり、オンライン診療料は算定できない。
 オンライン診療料を算定した月は、オンライン医学管理料以外の医学管理等の点数(特定疾患療養管理料等)は算定できない。オンライン診察時に投薬の必要性を認めた場合は、処方料または処方箋料を別に算定できる。
 オンライン診察を行う際には、予約に基づく診察による特別の料金の徴収はできない。情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。
2.医学管理等
(1)オンライン医学管理料(100点)が新設された。対面診療の原則のもと、前述のオンライン診療料記載の特定疾患療養管理料〜生活習慣病管理料(以下、「特定管理料等」)の算定対象となる患者であって、当該点数を初めて算定した月から6月以上経過したものに対し、対面診療とオンライン診察を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいて、オンライン診察による計画的な療養上の医学管理を行った場合に、月1回を限度に算定する。
 前回の対面診療による受診月の翌月から今回の対面診療による受診月の前月までの期間が2月以内の場合に限り、対面診療による受診月に特定管理料等と併せて算定できる。
(2)小児科外来診療料・小児かかりつけ診療料に小児抗菌薬適正使用支援加算(80点)が新設された(要基準)。急性気道感染症または急性下痢症により受診した小児であって、診察の結果、抗菌薬の投与の必要性が認められないため抗菌薬を使用しない患者に対して、療養上必要な指導及び検査結果の説明を行い、文書により説明内容を提供した場合に、初診時に限り、算定する。
(3)療養・就労両立支援指導料(1,000点)が新設された。産業医が選任されている事業場に就労しているがん患者の同意を得て、産業医に対し、就労と治療の両立に必要な情報を文書により提供し、助言を得て、治療計画の見直しを行った場合に、6月に1回に限り算定する。
(4)診療情報提供料(Ⅰ)に療養情報提供加算(50点)が新設された。患者が入院する医療機関または入所する介護老人保健施設等に文書で診療情報を提供する際、定期的に訪問看護を行っている訪問看護ステーションから得た療養に係る情報を添付して紹介を行った場合に算定する。
(5)診療情報連携共有料(120点)が新設された。他の歯科医療機関からの求めに応じて、検査値や処方内容等の診療情報を文書で提供した場合に算定する。
3.在宅医療
〈往診料〉
(1)往診料は医師が患者等から直接依頼され速やかに往診した場合に算定できるとされた。
(2)緊急往診加算の対象に、終末期の患者が追加された。
(3)夜間・休日加算、深夜加算は、該当時間帯が医療機関の標榜時間に含まれる場合は算定できないこととされた。
〈在宅患者訪問診療料〉
(1)在宅患者訪問診療料は(Ⅰ)と(Ⅱ)に区分された。(Ⅰ)は「1」と「2」に区分された。(Ⅱ)は医療機関に併設する介護施設等の入居者へ訪問診療を行った場合に算定するとされ、さらに「注1のイ」と「注1のロ」に区分された。
(2)一人の患者に一つの医療機関しか算定できない取り扱いが変更された。在宅時医学総合管理料等の算定要件を満たす他の医療機関からの依頼で訪問診療を実施した場合、月1回原則6月に限り算定できることとされた。この場合(Ⅰ)については「2」を、(Ⅱ)については「注1のロ」を算定する。
(3)在宅ターミナルケア加算の算定要件に、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等を踏まえて対応することが追加された。
(4)酸素療法加算(2,000点)が新設された。がん患者に対して酸素療法を実施した場合に算定する。
(5)特別養護老人ホームにおいて、当該施設が看取り介護加算を算定する場合でも、在宅ターミナルケア加算が算定できることとなった。
(6)特別養護老人ホームにおいて看取った場合、当該施設が看取り介護加算(Ⅱ)を算定する場合を除き、看取り加算が算定できることとなった。
〈在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料〉
(1)「3」(支援診以外)に継続診療加算(216点)が新設された。在宅療養支援診療所以外の診療所が、外来を継続的に受診し、在宅に移行した患者に対し、自院または他の医療機関との連携等により24時間の往診連絡体制等を確保した場合に算定する。
(2)包括的支援加算(150点)が新設された。要介護2以上等、通院が特に困難と考えられる患者や関係機関との連携に特に支援を必要とする患者について算定する。ただし「別に厚生労働大臣が定める状態の患者に月2回訪問診療している場合」は算定できない。
(3)在宅時医学総合管理料の「月1 回訪問診療をしている場合」にオンライン在宅管理料(100点)が新設された。在宅時医学総合管理料の算定開始から6月以上を経過した患者であって、訪問診療を1回行った月において訪問診療とは別の日に情報通信機器を用いた医学管理を行った場合に算定する。ただし、連続する3月は算定できない。
〈在宅療養指導管理料〉
(1)在宅自己注射指導管理料の対象注射薬にゴリムマブ製剤が追加された。関節リウマチに対して用いた場合に限り算定する。
(2)在宅酸素療法指導管理料「2 その他の場合」の点数の対象に、重度の群発頭痛の患者が追加された。
 「2 その他の場合」に遠隔モニタリング加算が新設された(要届出)。COPD(慢性閉塞性肺疾患)の病期分類でⅢ期以上の患者に対して、前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間に遠隔モニタリングを用いて指導を行った場合、2月を限度に当該指導管理料を算定した月に加算する。
(3)在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料が新設された。在宅半固形栄養経管栄養法を行っている患者に対して指導管理を行った場合に、最初の算定日から1年に限り算定できる。
(4)在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の「2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2」の点数に、遠隔モニタリング加算が新設された(要届出)。持続陽圧呼吸療法(CPAP)を実施している患者に対して、前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間に遠隔モニタリングを用いて指導を行った場合、2月を限度に当該指導管理料を算定した月に加算する。
4.検査
〈検体検査〉
(1)検体採取料「血液採取 1静脈」が25点から30点に引き上げられた。
(2)微生物核酸同定・定量検査に「迅速微生物核酸同定・定量検査加算(100点)」が新設された。微生物核酸同定・定量検査の「5 レジオネラ核酸検出」、「6 マイコプラズマ核酸検出」、「8 百日咳核酸検出」または「9 結核菌群核酸検出」の検査結果について、検査実施日に説明した上で文書により情報提供した場合に算定する。
〈生体検査〉
(1)認知機能検査その他の心理検査の「1 操作が容易なもの」に、長谷川式簡易知能評価スケール、MMSE 等8項目が追加された。
5.投薬
(1)処方料、処方箋料の特定疾患処方管理加算について、処方期間が28日未満の場合は特定疾患処方管理加算1,28日以上の場合(特処長)は特定疾患処方管理加算2とされた。28日以上処方した場合の点数は1点引き上げられ66点となった。
(2)処方箋料の一般名処方加算1が3点引き上げられ6点に、一般名処方加算2が2点引き上げられ4点となった。
(3)処方料の外来後発医薬品使用体制加算について、後発医療品使用割合の要件が引き上げられ、従来の60%以上70%未満の加算はなくなり、「加算1(85%以上)5点」「加算2(75%以上85%未満)4点」「加算3(70%以上75%未満)2点」の3区分とされた。2018年4月以降に加算1〜3を算定する場合は、新たに届出を行う必要がある。
(4)処方料、薬剤、処方箋料に係る向精神薬多剤投与の減算規定について、以下の改定が行われた。
・多剤投与の減算規定の対象に、1回の処方において「抗不安薬と睡眠薬を合わせて4種類以上の投薬を行った場合」が追加された。
・多剤投与に該当した場合の処方料・処方箋料が、それぞれ2点引き下げられた。
・「向精神薬多剤投与に該当する厚生労働大臣が定める向精神薬の一般名」(別紙36)が変更された。
(5)不安の症状または不眠の症状に対するベンゾジアゼピン系の薬剤について、2018年4月1日以降の処方を対象として、1年以上連続して同一の成分を1日当たり同一用量で処方した場合、処方料・処方箋料に減算規定が設けられた。算定点数は、内服薬の7種類以上の場合と同じく処方料29点、処方箋料40点を算定する。ただし、当該症状を有する患者に対する診療を行うにつき適切な研修を受けた医師が行う処方、または精神科医から直近1年以内に抗不安薬・睡眠薬の処方について助言を受けている処方は除外される。
(6)処方料・処方箋料に向精神薬調整連携加算が新設された。向精神薬の多剤投与、またはベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬等を長期継続処方した患者について、減薬の上、処方料算定時は薬剤師、看護師または准看護師に、処方箋料算定時は薬剤師に症状の確認の指示を行っている場合、月1回に限り12点を加算する。ただし、同一月に薬剤総合評価調整加算及び薬剤総合調整評価管理料は算定できない。
(7)分割指示に係る処方箋の様式(様式第二号の二)が追加された。分割指示を行わない場合は、従来の処方箋を使用することができる。
6.リハビリテーション
(1)要介護・要支援者であって入院外の患者に対する脳血管疾患等リハ、廃用症候群リハ及び運動器リハの維持期リハビリテーションの算定期限は、2019年3月31日までとされた。
(2)リハビリテーション総合計画評価料1(300点)とリハビリテーション総合計画評価料2(240点)に区分され、以下のように変更された。
・要介護被保険者等であって、脳血管疾患等リハ料、廃用症候群リハ料または運動器リハ料の算定日数上限の3分の1を経過している患者は、「2」で算定することとされた。
・要介護被保険者等以外の患者、心大血管疾患・呼吸器・がん患者または認知症患者リハビリテーション料の算定患者、要介護被保険者等であって脳血管疾患等・廃用症候群または運動器リハビリテーション料の算定日数上限の3分の1を経過していない患者は「1」で算定する。
(3)リハビリテーション総合計画提供料がリハビリテーション計画提供料に名称変更され、介護保険のリハビリテーション事業所にリハビリ計画等を提供した場合の評価として、「リハビリテーション計画提供料1」(275点)が新たに設けられた。それに伴い、従前の退院後のリハビリを担う他の医療機関へ提供した場合は、「リハビリテーション計画提供料2」(100点)で算定することとなった。
7.精神科専門療法
(1)精神疾患とは、ICD-10(国際疾病分類)の第5章「精神および行動の障害」に該当する疾病または第6章に規定する「アルツハイマー〈Alzheimer〉病」、「てんかん」及び「睡眠障害」に該当する疾病であると定義された。
〈通院・在宅精神療法〉
(1)初診時に精神保健指定医等が行った場合の点数(600点)が廃止され、精神保健指定医等であるかどうかに係わらず、初診時に60分以上行った場合、「1 通院精神療法」は540点、「2 在宅精神療法」は600点を算定することとされた。
(2)再診時に、精神保健指定医等が60分以上の「2 在宅精神療法」を行った場合は、精神保健指定医等であるかどうかに係わらず、540点を算定することとされた。
(3)措置入院、緊急措置入院を経て退院し、都道府県等が作成した計画に基づく支援期間にある患者に対して、退院後の療養を担当する医療機関の精神科の医師が行った場合の点数(660点)が新設された。
(4)(3)の加算点数として、「2 通院精神療法」に措置入院後継続支援加算が新設された。医師の指示を受けた看護師、准看護師または精神保健福祉士が、月1回以上、治療及び社会生活等に係る助言または指導を継続して行った場合に、3月に1回に限り、275点を加算する。
〈認知療法・認知行動療法〉
(1)精神保健指定医による場合の評価が廃止され、「1 医師による場合」(480点)、「2 医師及び看護師が共同して行う場合」(350点)に再編された。
8.処置
(1)創傷処置の「1 100㎝2未満」が7点引き上げられ52点とされた。
(2)鶏眼・胼胝処置が月2回まで算定できることとされた。
〈人工腎臓〉
(2)従前の「慢性維持透析を行った場合」が、透析用監視装置の台数やそれに対する透析実施患者数の割合により、新たに三つに区分された。規模が大きく効率の良い医療機関に対しては、より低い点数が設定された。
(2)「慢性維持透析を行った場合1」「慢性維持透析を行った場合2」については届出が必要となった。
(3)「慢性維持透析濾過(複雑なもの)」は、時間に応じた評価体系を導入するとして廃止された。
(4)慢性維持透析濾過加算(50点)が新設された(要届出)。慢性維持透析濾過(複雑なもの)を行った場合は、「慢性維持透析を行った場合1」から「3」のいずれかの所定点数に50点を加算する。加算の算定にあたっては、透析液水質確保加算の施設基準を満たす必要がある。
(5)長時間加算(1回につき)(150点)が新設された。通常の人工腎臓では管理が困難な兆候を有する以下の患者に対して、6時間以上実施した場合に算定する。
ア.心不全兆候を認める、または血行動態の不安定な患者
イ.適切な除水、適切な降圧薬管理、適切な塩分摂取管理を行っても高血圧状態が持続する患者
ウ.高リン血症が持続する患者
9.入院料
(1)一般病棟入院基本料は急性期一般入院料と地域一般入院基本料に再編された。
 急性期一般入院料2〜7は看護配置10対1以上を基準とし、重症度、医療・看護必要度の割合により区分された。急性期一般入院料1は看護配置7対1以上とされた。
 地域一般入院基本料は看護配置13対1(入院料1,2)または15対1(入院料3)以上を基準とし、13対1については重症度、医療・看護必要度の評価を行う区分が設けられている。
(2)療養病棟入院基本料は看護配置20対1、看護補助配置20対1が基準とされた。療養病棟入院料1は医療区分2,3の患者割合が8割以上、療養病棟入院料2は5割以上とされた。
〈届出について〉
 施設基準の定められた新設点数や、施設基準が変更された既存点数を4月以降引き続き算定する場合は、近畿厚生局兵庫事務所に届出を行う必要がある。2018年4月については16日までに届出書の提出があり、同月末日までに要件審査を終え、届出が受理されたものについては4月1日にさかのぼって算定することができる。

2018年度 診療報酬改定の要点〈歯科〉 基本診療料に施設基準
 協会歯科部会は、歯科医療危機を打開し、良質な歯科医療を国民に提供できるよう、診療報酬の10%以上の引き上げと不合理是正を求めて運動を積み重ねてきた。その結果、当初マイナスと言われていた今回の改定が、0.69%とわずかではあるもののプラスとなったことは、運動の一定の成果である。しかし同時に今回の改定は、歯科医療機関の経営改善にはほど遠いものであり、歯科医療費の総枠拡大と基礎的技術料の大幅な引き上げを求め、引き続き運動を強めていく。
 今次改定の中でとりわけ、基本診療料に新たに院内感染防止対策の施設基準を導入し、届出がない医療機関は基本診療料を減算されることになったことは、診療報酬のあり方を歪める暴挙である。強く抗議するとともに撤回を求めるものである。
 以下、具体的な改定内容について紹介する。

〈主な改定項目〉
1.施設基準の新設・変更と経過措置
(1)初再診料に院内感染防止対策の施設基準が導入され、届出がなければ減算される。継続的な研修の受講や口腔内で使用する歯科医療機器を患者ごとに交換すること、院内感染防止対策を講じていることなどを届出することとされた。また、研修の定期的な受講や院内感染防止対策の体制などを近畿厚生局兵庫事務所に報告することが義務付けられた。実施まで半年間の経過措置が設けられた。
(2)歯科外来診療環境体制加算(外来環)は、一般の歯科医療機関が算定する外来環1と地域歯科支援病院が算定する外来環2に分けられた。また、外来環1は施設基準に定められる院内感染防止対策に関する研修などが初再診料にかかる届出に移行したとして、引き下げられた。すでに外来環の施設基準を届け出している医療機関は改めて届け出る必要がある。
(3)かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準が強化された。2018年3月31日までに届出を提出した医療機関に対し、2年間の経過措置が設けられた。
2.歯科疾患と口腔機能の管理による診療の評価
(1)歯管に対する口腔機能管理加算、小児口腔機能管理加算の新設
 [1]口腔機能管理加算は、65歳以上の口腔機能低下症の患者に対し、口腔機能の回復・維持を目的に継続的な管理を行った場合に、口腔機能管理加算100点を加算できることとされた。
 [2]小児口腔機能管理加算は、15歳未満の口腔機能発達不全症の患者に対し、口腔機能の獲得を目的に継続的な管理を行った場合に、歯管に小児口腔機能管理加算100点を加算できることとされた。
 [3]検査や評価の結果、加算に定める対象患者の要件に満たなくても口腔機能低下症や口腔機能発達不全症に該当する場合は、歯科疾患管理料を算定して継続的な管理を行うことができる。
(2)口腔機能の低下を診断する検査等の新設や適応拡大
 [1]舌圧検査が月2回算定できる適応症に顎補綴、口蓋補綴の装着患者や広範囲顎骨補綴の装着患者が追加された。また、検査の対象に口腔機能の低下が疑われる患者が追加され、6カ月に1回算定できることとされた。
 [2]口腔機能低下症の診断を目的とした咀嚼能力検査と咬合圧検査が新設された。
 [3]有床義歯咀嚼機能検査に咬合圧測定が新設された。また、対象患者が拡大し、新たに臼歯4歯以上の両側遊離端欠損の患者などが対象に加えられた。
3.医科と連携し、全身疾患の管理下で診療した場合の評価
(1)全身的な管理が必要な患者に対し、医科の保険医療機関で行った検査の結果や投薬内容などの診療情報について、文書で提供を依頼した場合に算定できる診療情報連携共有料が新設された。3カ月に1回120点を算定する。
(2)医科との連携による継続的管理の評価として、歯科疾患管理料と歯科疾患在宅療養管理料に加算する総合医療管理加算50点が新設された。糖尿病や骨吸収抑制薬や血液凝固阻止剤の投与中の患者などが対象になる。
(3)医管Ⅰと医管Ⅱが統合再編され、名称が歯科治療時医療管理料に変更された。
 [1]歯科治療時医療管理料(改定前:医管Ⅱ)の対象疾患の変更
 モニタリングの評価として2016年改定で新設された医管Ⅱの名称が歯科治療時医療管理料に変更され、医管Ⅰの統合・整理に伴い対象疾患が拡大された。
 [2]骨吸収抑制薬服用患者の医学管理区分の変更
 医管Ⅰの廃止に伴い、対象疾患であったBP系製剤の服用患者は、骨吸収抑制薬投与中の患者に対象が拡大し、骨露出を伴う顎骨壊死の発症前後で、歯管の総合医療管理加算と歯科特定疾患療養管理料にそれぞれ再編された。
(4)歯科特定疾患療養管理料の対象疾患に、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(骨露出を伴うもの)または放射線治療性顎骨壊死が加わった。
(5)周術期口腔機能管理の名称変更と対象手術例の追加
 [1]「周術期口腔機能管理」の名称が「周術期等口腔機能管理」に変更された。
 [2]対象手術の例に、人工股関節置換術などの整形外科手術や脳卒中の手術などが追加された。
 [3]手術前に放射線治療や化学療法を行う場合に限り、術前の周Ⅰまたは周Ⅱと周Ⅲを同月に併算定できることとされた。
 [4]周術期等専門的口腔衛生処置2(術口衛2)100点が新設された。放射線治療や化学療法で生じた口腔粘膜炎の疼痛緩和を行った場合に算定する。使用する口腔粘膜保護材は別に算定できる。
4.特定薬剤料および投薬の算定方法の見直し
(1)特定薬剤・麻酔薬剤の算定方法について、一般の薬剤料と同様、薬価が15円を超える場合に算定できることとされた。
(2)後発医薬品の使用を促進するため、処方料の外来後発医薬品使用体制加算は項目の見直しと追加、点数が引き上げられた。処方箋料の一般名処方加算は点数が引き上げられた。
5.床副子の名称が口腔内装置に変更され、装置と算定点数の区分も変更
 床副子の名称が口腔内装置に変更され、区分も材料や咬合関係の付与の有無によって三つに分かれた。
 [1]口腔内装置11,500点
 義歯床用アクリリック樹脂により製作された口腔内装置
 [2]口腔内装置2800点
 熱可塑性樹脂シート等を歯科技工用成型器により吸引・加圧して製作または作業模型に常温重合レジンを圧接して製作された口腔内装置であり、咬合関係が付与されたもの
 [3]口腔内装置3650点
 口腔内装置2の材料を用いた場合で、咬合関係が付与されていないもの
6.歯科疾患の重症化予防に関連した指導料や処置の変更点
(1)歯科衛生実地指導料の対象疾患が「う蝕または歯周病」から「歯科疾患」へ拡大された。
(2)歯周病検査に際して実施する口腔内写真検査が、医学管理の歯周病患者画像活用指導料に変更された。口腔内写真を活用して指導等を行った場合に算定する。
(3)機械的歯面清掃処置の実施にあたっては歯管、歯在管の算定が前提条件になっていたが、新たに歯科特定疾患療養管理料が加わった。また、妊婦や歯科診療特別対応加算の算定患者に限り、月1回算定できるようになった。対象疾患が「歯周疾患」から「歯科疾患」に拡大された。
7.レーザーを活用した医療技術
(1)口腔粘膜処置
 再発性のアフタに対するレーザー照射の処置として口腔粘膜処置30点が新設された。算定にあたり施設基準の届出が必要となる。
(2)レーザー機器加算
 レーザー照射により手術を実施した場合に、手術の区分に応じた加算点数が新設された。算定にあたり施設基準の届出が必要となる。
8.高強度硬質レジンブリッジの新設
 グラスファイバーで補強された高強度のコンポジットレジンを用いた3ユニットブリッジが保険導入された。7番が全て残存する場合の『4』5『6』Brが適応になる。歯科用金属アレルギー患者の場合は、上記によらず臼歯部の3歯ブリッジが認められる。
9.著しく歯科治療が困難な患者の加算点数の要件変更
 著しく歯科診療が困難な患者(歯科診療特別対応加算の対象患者)に対する加算(70/100,50/100,30/100)は、治療を行う歯科医師に加え、開口や姿勢などの保持に歯科医師、歯科衛生士、看護師などが参画した場合に限られていたが、患者の状態に留意しながら治療を行った場合に算定することになった。
10.在宅医療
(1)訪問診療料に急性対応が包括され、20分未満の場合は70/100に減算される。
(2)継続的に外来受診していた患者が訪問診療に移行した場合、最終来院日から3年以内の歯科訪問診療1(20分以上)に加算する、歯科訪問診療移行加算が新設された。
(3)在宅医療における歯科衛生士の関連点数が拡大・新設
 [1]すべての歯科医療機関で訪補助が算定できることになった。
 [2]訪問歯科衛生指導料は、必ず20分以上の実地指導が必要になった。また、同一の建物内で同月内に指導管理する人数によって、算定点数が3段階に区分される「単一建物診療患者」の考えが導入された。
 [3]歯科疾患在宅療養管理料を算定した患者のうち、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が専門的口腔清掃処置を行った場合に月1回算定する在宅等療養患者専門的口腔衛生処置が新設された。
(4)在宅療養支援歯科診療所の施設基準が1と2に分かれた。2018年3月31日までに届出を提出した医療機関に対し、2年間の経過措置が設けられた。
(5)訪問口腔リハの時間要件の緩和とNST加算や15歳未満の訪問口腔リハを新設
 [1]訪問口腔リハの時間要件が1回につき30分以上から20分以上に緩和された。
 [2]NST加算の引き上げと適応の拡大
 NST1、NST2がそれぞれ60点から20点引き上げられ80点になった。また、歯在管に加え訪問口腔リハに対しても加算点数として適応が拡大された。
 [3]15歳未満に対する小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料が新設された。
 [4]訪問口腔リハ、小児訪問口腔リハに対する施設基準の届出別の加算点数が再編された。
11.常勤配置に関する要件の緩和
 歯科治療時医療管理料、有床義歯修理および有床義歯内面適合法の歯科技工加算1,2において、歯科衛生士および歯科技工士の常勤職員の配置が、非常勤職員を組み合わせた常勤換算でも可能となり、要件が緩和された。
〈介護報酬改定〉
 居宅療養管理指導費の算定区分が、同一建物から単一建物に変更された。改定前は同じ建物内で居宅療養管理指導を実施する対象者の人数を1日単位で区分に応じて算定していたが、改定後は同じ建物で同月内に実施予定の対象者の人数に応じて、あらかじめ算定する単位を確定する「単一建物」の算定方法に変更された。
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