兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

兵庫保険医新聞

2018年7月25日(1884号) ピックアップニュース

「こども医療費助成と福祉医療」パンフ2018ができました
「中3まで無料」9割に拡大

1884_05.jpg

完成したこども医療費助成と福祉医療パンフレット2018

 協会は、毎年実施している県下全市町の福祉医療制度調査の2018年度分の結果をまとめた。「こども医療費」について「中学3年生まで無料」は、新たに加古川市が加わり、県下41市町の9割に広がった。結果をまとめたパンフレットが完成したので、医療機関スタッフの学習用や、待合室に置いていただくなど、ご活用いただきたい。

乳幼児・こども
加古川市で拡大
 乳幼児・こども医療費助成制度は、自治体ごとに定められた年齢以下の子どもに対し、受診時窓口負担を軽減、もしくは無料とする制度である。
 通院・入院とも受診時窓口負担を「中3まで無料」としている市町には、今年度より加古川市が加わった。これにより「中3まで無料」の自治体は前年よりも1市増え、36市町となり、県下自治体の88%まで広がった。ただ、三田市では所得に関係なく中3まで無料だったものに、所得制限が設けられた(表)。
 中3を超え、高校生まで対象にする自治体は、神河町が増え、7市町(小野市、赤穂市、洲本市、高砂市、朝来市、香美町、神河町)になった。
母子家庭等・一人親世帯
 「母子家庭等一人親世帯医療費助成」は、自治体ごとに定められた一定の所得以下の一人親世帯を対象に、受診時窓口負担を軽減する制度。
 県と一部の自治体では、所得制限について、「国の定める児童扶養手当の所得基準を準用」しているため、国によるこの基準により、結果として対象者が拡大した。
 これによりこの所得基準を準用している自治体では、これまで収入130万円未満の扶養義務者が対象となっていたところ、160万円未満が対象に広がった。
対象拡大は19市町
 県と同じ所得基準を採用している次の13市6町で、対象者が拡大する。尼崎市、伊丹市、川西市、猪名川町、播磨町、加古川市、稲美町、三木市、小野市、たつの市、太子町、上郡町、豊岡市、養父市、朝来市、香美町、淡路市、洲本市、南あわじ市。
重度障害者
 重度障害者医療費助成制度は、自治体ごとに定められた一定の所得以下の、重度(1級・2級)の身体障害者などを対象に、受診時窓口負担を軽減する制度。
 兵庫県は対象となる所得制限について、「世帯合算する」としているが、神戸市では、「世帯合算は行わない」と、対象が広く定められている。
高齢期移行者
 高齢期移行者医療費助成制度は、昨年廃止された老人医療費助成制度に替わって新設されたもの。65歳〜69歳の人のうち、自治体ごとに定められた所得制限や「要介護度2以上」などの条件を満たした人を対象に、受診時窓口負担に上限を定める。ただし、廃止された老人医療費助成制度の対象者に限り、70歳になるまで旧制度上の助成が受けられる。
 宝塚市は、通院時の自己負担額に月1万2000円の上限等が設けられる「区分2」の要件に、県と同様「要介護度2以上」の要件を加えて、対象者を減らした。
寡婦(夫)
 朝来市は、「寡婦(夫)医療」として、「かつて18歳未満の児童を監護していた母子家庭の母及び父子家庭の父で65歳未満の方への医療費助成」制度があったが、今年度から廃止された。
さらなる拡充へ運動を展開
 兵庫県の福祉医療制度は、71年から、75歳以上の「居宅寝たきり老人」を対象に開始され、72年には70歳以上の老人と65歳〜69歳の重度身障者(1〜2級)に対象が拡大。73年には重度障害者、乳児を対象とした制度が創設され、79年には母子家庭等の助成制度が開始された。
 その後、こども医療費助成制度においても、「通院・入院とも中3まで無料」が県内36市町にまで広がってきた。この背景には、協会と地域住民の運動がある。
 しかし、井戸県政の下で、福祉医療予算は縮小の一途を辿り、兵庫県の老人医療費助成制度が廃止されるなど制度の縮小が相次いでいる。また、この間拡大傾向にあった市町のこども医療費助成においても三田市など一部の自治体において縮小が起こっていることには注意が必要である。協会は、今後もお金の心配なく医療にかかれる社会の実現を求め、福祉医療の拡充を求める運動を展開していく。
 ※パンフレットは、正会員を対象に月刊保団連8月号に同封してお届けする予定。追加希望等には在庫の範囲で応じる。医療機関や市民に活用してもらうため、非売品として無料で頒布している。ご注文・お問い合わせは、電話078-393−1807まで。

表 こども医療費助成を改定した5市町の概要
1884_06.gif
バックナンバー 兵庫保険医新聞PDF 購読ご希望の方