兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2018年10月15日(1891号) ピックアップニュース

燭心

 本年度のノーベル医学生理学賞を、本庶佑先生が受賞された。癌治療の画期的な新薬の開発につながる、免疫たんぱく質の発見が受賞理由である。私たち臨床医にとっても、うれしい話題である。まずは祝福を申し上げたい▼本庶先生は若い頃大阪大学で研究をしておられた。小説「白い巨塔」のモデルにもなった病院は、移転が決まっていたものの、老朽化が進み、まるで迷路のようであった。多くの研究室の窓に、真夜中まで煌々と電気が灯っていたのを思い出す。おそらく不眠不休で研究に没頭しておられたのだろう▼「オプジーボ」は当初、悪性黒色腫の治療薬として発売された。その優れた治療効果は医療界に衝撃を与えたが、年間3500万円という薬価も衝撃的であった。その後肺癌などにも適応が広がったにも関わらず薬価は据え置かれ、欧米との格差は2〜3倍にもなった。その独占的薬価を調査・告発したのは保団連である。国会などで追及された結果、緊急薬価改定などで、現在は当初の3分の1になった▼「重い病気から回復し『元気になったのはあなたのおかげ』と言われると、本当に研究として意味があったと思う」と記者会見で述べておられた。しかしながら、高額な医薬品を保険適用から除外しようとする、財務省筋の動きがあるとも聞く。多くの国民が使えないようでは、せっかくの大発見も台無しであろう。貧富の差なく誰もが享受できる、社会保障としての医療に役立ててほしい。私たちの切なる希望である(星)
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