兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2019年2月05日(1900号) ピックアップニュース

みんなでストップ! 患者負担増 窓口負担増阻止へ取り組みに全力
インタビュー(6) 1人10筆みんなで集めましょう
伊丹市・かわむら歯科 川村 雅之先生

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スタッフと共に署名を集めていると語る川村雅之先生(左)、川村一喜先生(右)

 政府の患者負担増計画を中止させるため、協会は街頭宣伝や自治体の要請など取り組みを強めている。5万筆を目標に集めている「みんなでストップ!患者負担増」署名は1万7千筆を超えた。200筆を超える署名を集めている伊丹市・かわむら歯科の川村雅之先生に署名集めにかける思いを聞いた。

 受付でスタッフから「皆さんの窓口での負担が上がるかもしれません。よかったら書いてください」などと声をかけてもらうと、皆さん署名してくれました。患者さんの中には「こんな計画知らなかった。知り合いにも広めて集めるわ」と用紙を持って帰り、後日集めた署名を持って来てくださった方もいます。
 最近、妊婦加算が凍結されたことが大きな問題となりました。これは3割負担のために、妊婦の方の窓口負担が増えたことが問題になったためです。一方で、窓口負担がゼロか400円程度の低額である6歳未満の小児へ加算がなされた時には別段、問題にはなりませんでした。やはり国民が受診時の窓口負担を気にしていることの表れではないでしょうか。事実、ドイツやイタリアなどのヨーロッパの先進国では、窓口負担は無料や少額が当たり前で、国民はお金の心配なく医療にかかることができます。日本の社会保障は、患者負担の面から見ると大きく遅れていると思います。
 歯科でも保険医療の範囲が狭く、矯正などは自費診療のため、医療費が非常に高くなるケースがあります。歯科の保険収載の範囲を広げ、安心・安全な医療を担保するために保険点数を引き上げることが重要です。一方で患者さんの窓口負担が高くならないよう、患者負担割合の引き下げを求める、この両輪での運動が大切だと思います。
 安倍政権は社会保障充実のためとして10月に消費税を引き上げようとしていますが、5%から8%へ引き上げられても医療や福祉の負担が増やされるだけで、給付も充実されませんでした。国は医療・福祉を切り捨てようとしているのではと不安に思います。国民の健康を維持、増進させ、医療を充実させることが憲法25条で定められた国の役割なのに、患者さんへの負担増はそれを放棄するものです。
 現在、75歳以上の方の窓口負担の原則1割から2割への引き上げが検討されていますが、高齢者は内科、耳鼻科、整形外科、歯科などさまざまな科を受診します。今の1割でも相当な負担となっており、負担が倍になると継続して受診できなくなる方も出てきますし、健康が守れなくなる上、医院経営にも悪影響を与えることは確実です。みんなで署名を集め、反対していかなければなりません。
 兵庫協会には約7500人の会員がおり、先生やご家族、スタッフの方から10筆集めていただくだけでも、7万5千筆となり、5万筆の目標も達成できます。みんなで少しずつ協力して署名を集めましょう。
【今号には、署名用紙を同封しています。ぜひご協力を】
元町・大丸前で街頭宣伝
「負担増計画は中止を」世論盛り上げよう
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多くの人が足を止め、署名に協力した

 協会は1月12日に元町・大丸前で街頭宣伝を実施した。西山裕康理事長を筆頭に、武村義人・加藤擁一・川西敏雄各副理事長、口分田真理事が参加し、後期高齢者の医療費窓口負担の倍増など、政府の患者負担増計画を紹介し、道行く人々に署名への協力を呼びかけ、計32筆が集まった。
 署名に協力した人からは、「こんな計画があることは全然知らなかった。窓口負担が2倍になると病院にかかれなくなる」「安倍さんは庶民に厳しい。年金は下がり、消費税は上がるというのに医療でも負担増はやめて」などの切実な声が寄せられた。
各自治体へ意見書採択求める
地方議会から「ストップ!患者負担増」の声上げよう
 協会は、政府・財務省が計画する75歳以上の後期高齢者の窓口負担の2割への引き上げを中止させるため、県下自治体へ「後期高齢者の窓口負担原則1割の継続を求める意見書」の採択を求める運動に取り組んでいる。これまでに、神戸・宝塚・川西・伊丹の各市、猪名川町の各議会に陳情・請願を提出している。
 宝塚市議会は11月28日の文教生活常任委員会で請願を審議。中井通治北阪神支部長が「窓口負担引き上げで、高齢者が必要な医療を受けられず疾病を悪化させることを、住民の命・健康を預かる開業医師として深く憂慮している」と意見書の採択を求め、各委員からは「高齢者の健康を危険にさらしての医療費抑制は問題」「医療費の抑制は必要では」などさまざまな意見が出され、3月議会で継続審議を行うこととなった。
 川西市議会でも、「今後の国の動向を注視する」として「継続審査」とし、3月議会に議論が持ち越された。
 神戸市議会では11月29日の福祉環境委員会で審議打ち切りとなった。市は、(1)2割化は法案になっていない、(2)市は後期高齢者医療広域連合を通じて継続を国に要望している、と説明。共産党は「採択」を主張したが、他会派はすべて、市と同様の趣旨を述べ、「審議打ち切り」を主張した。これは委員会として審議をする必要はないというもの。政府の確定した方針になっていないとはいえ、財務省審議会で2割化が打ち出されている今こそ意見書を出す意義があるにもかかわらず、まともに検討しようとしない会派の姿勢は政府方針に対抗できるのか疑問を感じさせた。
 伊丹市・猪名川町議会では、不採択となった。
 協会では、地方議会から「ストップ!患者負担増」の声を上げていくため、粘り強く各自治体へ意見書採択の請願を働きかけていく。
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