兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2019年3月25日(1905号) ピックアップニュース

燭心

 いよいよ平成が終わる。筆者の人生前半30年は「昭和」、中盤は「平成」。後半30年は新元号を生きる予定だ。新元号下で大阪・関西万博が開かれる。50年前の大阪万博は昭和だ▼昭和万博は、アポロ宇宙船が持ち帰った「月の石」(私は待つ・並ぶが嫌いで東南アジア館ばかり回って、実は見ていない)。三波春夫の「世界の国からこんにちは」、そして「太陽の塔」−世界の誰もが見たことのないスケールとインパクトで、今も記憶に残る。残念だが、新万博は、6300万人が訪れた昭和万博を超えられそうにない。「火星人」でも捕まえてきて展示するか▼新万博の経済効果は2兆円前後らしい。会場建設・インフラ整備で2000億円、運営費800億円、入場者による消費支出5000億円などの直接効果が1兆円。周辺波及効果が1兆円。東京五輪後の景気低下は止めるが、その後は不透明。もちろん建設費などは開催前に業者の懐に入る。開催決定の瞬間に背広のおじさんたちが抱き合って喜んでいたのもうなずける▼新万博のウェブサイトには「大阪・関西万博は、...持続可能な開発目標として17の目標を掲げたSDGsが達成された社会をめざすために開催」とある。17の目標は「貧困の撲滅」「飢餓撲滅、食料安全保障」「健康・福祉」「万人への質の高い教育、生涯学習」「ジェンダー平等」「水・衛生の利用可能性」等々と、万国が望む社会である。AI、VR、IR...。勝ち組国の自慢博覧会であってはならない。(空)
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