兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2019年8月05日(1917号) ピックアップニュース

会員インタビュー 加古川市 多木純子先生・秀雄先生
音楽で患者さんを元気にしたい

 患者さんに歌声で元気を届けたい−−。加古川市で多木クリニックを開業している多木純子先生と多木秀雄先生は、クリニック併設の通所リハビリテーション施設で定期的に音楽コンサートを開催している。音楽やコンサートへの思いなどについて、加古川・高砂支部の佐々木一副支部長がインタビューした。

コンサートが音楽に触れるきっかけに
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加古川市 多木クリニック 
多木純子先生 多木秀雄先生
【たき じゅんこ】1954年生まれ。79年岩手医科大学医学部医学科卒業、加古川市民病院、神戸大学医学部附属病院など勤務を経て、91年多木クリニック開業
【たき ひでお】1950年生まれ。76年信州大学医学部医学科卒業、淀川キリスト教病院小児科、佐野伊川谷病院小児科勤務を経て、91年多木クリニック開業

 佐々木 医師会の音楽同好会にもお誘いいただき、いつもお世話になっています。先生方は日頃から多彩な音楽活動を行っていると伺いました。この音楽コンサートを始められた経緯を教えてください。
 多木純子(以下、純子)私も夫も、もともと音楽が好きでした。医師会に音楽同好会ができ、さまざまな活動に関わる中で、通所リハビリテーション施設の利用者の方にも気軽に音楽に接する機会を提供したいと思い、ここで月1回、定期コンサートを開催するようになりました。利用者の方はなかなか生の音楽を聴く機会がありません。コンサートを通してそういった利用者さんに少しでも楽しい時間を過ごしていただけたら、嬉しいですね。
 佐々木 毎月楽しみにしておられる利用者さんがいらっしゃるでしょうね。コンサートではどのような演奏をされているのですか。
 多木秀雄(以下、秀雄)最初、ジャズの伴奏の方を呼んで、私が歌を歌っていたのですが、今ではコーラスを基本にサックスやフルートなどの演奏を交えながらコンサートを開催しています。今まで歌ってきた曲は120曲くらいになりますかね。
 佐々木 すごく長く取り組んでいらっしゃるのですね。それに加えて、クリスマスコンサートを毎年開催されているのですよね。クリスマスコンサートはどのような思いで始められたのですか。
 秀雄 普段来られない方にも足を運んでもらい、1年の集大成として大勢で楽しくコンサートをできたらとの思いから始めました。音楽同窓会のメンバーにも参加していただいています。
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聞き手 佐々木一 
加古川・高砂支部 
副支部長

音楽が認知機能低下の予防に
 佐々木 コンサートをされていて、利用者の方の反応はいかがですか。
 秀雄 私はいつも英語でジャズを歌うのですが、歌詞を覚えて一緒に歌ってくださる方がいらっしゃいます。コンサートの後は、リハビリに対する意識が上がっているように感じます。
 純子 五感を鍛えることは、高齢者にとってとても大切なことです。もともと通所リハビリテーションを開設したのは、糖尿病で脳梗塞を発症された方の在宅療養でリハビリを行うためでした。ですから介護保険が始まる前からずっと続けてきました。時代の流れとともに脳梗塞で寝たきりになる人は減りましたが、認知機能が低下する人が増えています。音楽が五感を刺激し、認知機能低下の予防につながっていると思います。
 佐々木 私も音楽同好会で合唱に参加した時に、「あの素晴らしい愛をもう一度」を歌いました。みんなで歌うと気持ち良いですし、気分が晴れるように感じました。音楽には人を元気にする力があると思います。
障害のある子どもたちへの思いを歌詞に
 佐々木 秀雄先生は作詞もされるそうですね。入選されたと伺いました。
 秀雄 財団法人日本児童家庭文化協会が募集した「いのちの輝き」をテーマにした詩の募集があった際に、応募し入選しました。この詩は勤務医時代に関わった多くの子どもたちを思い描き、応援歌として書いたものです。この中に「歩みを進める」という歌詞が出てきます。これは平本歩(あゆみ)さんという方に思いを寄せて書きました。
 平本歩さんは、私が勤務医のときに出会った入院患者さんです。彼女は人工呼吸器をつけており、一日中病院の天井を見て過ごさないといけない状況でした。彼女と関わる中で、人工呼吸器を装着した子どもさんでも、自宅で普通の生活を送っていただけるサポートがあればなあと思いましたが、患者さんのご家族主導で「バクバク(アンビューバッグの意)の会」が発足し、後に全国組織となりました。
 平本さんは現在33歳でヘルパーをつけて1人暮らしをしています。昨年この歌詞に曲がつき、歌が完成しました。できた歌を平本さんにも送り大変喜んでいただきました。今年のクリスマスコンサートでこの歌を歌おうと、現在練習中です。
 佐々木 楽譜ができあがっていて、私も合唱予定です。この素晴らしい歌詞を噛みしめながら音楽同好会のメンバー全員で練習しています。
研究会を地域で活発に開催してほしい
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一年の集大成のクリスマスコンサートで合唱

 佐々木 最後に、協会へ期待することはありますか。
 秀雄 協会は日常診療で役立つ研究会をいろいろ開催されていますね。これからも研究会開催に力を入れていってほしいと思います。
 純子 協会はいつも情報をいち早く入手して会員の私たちに知らせてくださるので感謝しています。最近個人的には、医院経営で、都市部を中心とした医療費支払いのキャッシュレス化が気になっています。開業医は診察と医学の勉強が仕事ですから、そういったことに疎い方も多いと思います。今後の医院経営で気をつけた方が良いことなど最新の情報をいただけたらありがたいです。
 また、このデイケアを始めた頃には保険医協会のさまざまな勉強会に参加させていただきました。新点数研究会もとても分かりやすくて助かっています。
 佐々木 これからもさまざまな研究会を、いろんな支部で開催していきいたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

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