兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2020年4月05日(1938号) ピックアップニュース

燭心

 〝水の構造には二種類ある〟東京大学生産技術研究所はその証拠を見つけたと発表した。液体の水の構造については一世紀以上にわたって論争が続いてきたが、可逆的に変化可能な2種類の異なった構造の液体が交じり合ったという「混合モデル」の動かぬ証拠を見つけたらしい。この混合モデルを提唱したのは、かのレントゲン博士である。液体の水は4℃で密度が最大になることはその二つの構造比率に起因している。この水の特殊性により、真冬でも湖の水は表面しか凍らずに、水生生物が越冬できるなど、地球上の生命は育まれてきた▼春になり暖かくなれば、雪解けが進むのは自然なことだが、今季は南極大陸で、観測史上最高温度として、なんと20℃が記録された。当然南極の氷も解けてしまう。産業革命以降の大気中のCO2濃度が上昇するにつれ、地球の平均気温は上昇し続けている。南極のみならず世界中で起こっている異常気象を、異常と感じない方が異常であろう。この気象現象の変化は人為的である。巨大地震や巨大隕石落下、破滅的大噴火、太陽黒点異常など人事の及ばない自然現象とは区別して考えなければならない▼元日本環境学会会長の和田武氏は講演で「温暖化による不可逆的な環境破壊が起こりつつある」と語っている。われわれ人類は、もう取り返しがきかない時点に置かれているということだ。今一度、将来にわたっての地球環境保全を考える大切な時期であろう。知っていて声を上げないのは罪である(蓮)
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