兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2020年4月25日(1940号) ピックアップニュース

燭心

 新型コロナウイルス感染が拡大する中、医療機関での感染者発生だけでなく、自身の感染も気にしながら診療している▼4月21日現在、兵庫県民約546万人に対して感染者524人、死亡者22人であり、感染は10万人に約9.6人、死亡は24万人に約1人である。今はウイルスが怖いというより、感染源となった場合の非難や風評被害の方が恐ろしく感じる▼感染者が発生した医療現場の苦闘は想像に難くない。人員と設備、個人防護具や衛生用品が不足する中、前門のウイルスと後門の心無い言動に挟まれ、ストレスに耐え、悩み、落ち込んでいるだろう。患者のためを第一に考え、第一線で奮闘する医療従事者に深く感謝するとともに心から応援したい▼当市内にも感染者が発生し、飲み仲間からの情報を、下戸の私に教えてくれる親切な人もいる。噂やデマは「友だちの友だちからだけど」「大事だから」「すぐに伝えて」といった、「曖昧」で「重要」なほど広がるらしい。「流言は智者に止まる」と言われる▼未知のものを恐れるのは、身を守るために必要であるとはいえ、感染拡大を繰り返し強調する報道を目にすると不安は拡大する。脅威を過大評価せずに、情報源を信頼できるものに限定し、理性的に判断して行動したい▼危機が訪れた時にこそ、人間は団結して対処すべきであろう。われわれは過去の自然災害も、社会性を保って互いに助けあうことで乗り越えてきた。共にこの難局を乗り越えられるか、行動が試されている。(空)
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