兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2020年6月05日(1943号) ピックアップニュース

燭心

 厚生労働省は社会保障の向上や労働環境の整備による「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」のため2001年に発足した。産業革命当時の経験から生み出された省庁である▼今回の新型コロナ騒動は、奇しくもそのことを想起させた。新自由主義を掲げ、富の集中をめざす政府は、医療福祉を削り、労働力を使い捨てのごとく扱ってきた▼公立・公的病院の統廃合・病床削減は、医療崩壊の危険を高め、保険点数を抑制された開業医、特に歯科医の多くは余力もなく経営難に陥っている。迅速な対応、十分な治療の確保が難しい中で、外出制限などの隔離策しか有効な方法がない、危機的な状況が続いた。アメリカでは貧困層が受診できずに感染が拡大、ヨーロッパでは健康弱者が集まる介護施設から感染爆発が起こった。世界経済は失速し、削減された医療費や社会福祉費等とは桁違いの経済損失が発生した。国と国が軍事費を競い合っている場合ではない。医療福祉の建て直しこそが急務であろう▼わが国では、地域の十分な病床数の確保、保険点数の引き上げと保険適用範囲の拡大、一部負担の引き下げが重要になる。介護費の拡充も重要である。大企業減税をやめ、保険料の企業負担分を創設するなどで財源を確保し、国の責任によって充実させるべきであろう▼何のことはない、保険医協会と保団連が主張してきたことばかりである。医療や福祉は無駄金ではなく、わが国を守るための大事な政策であることを改めて確信した。(酔)
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