兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2020年9月05日(1951号) ピックアップニュース

燭心

 新型コロナ感染症がいっこうに衰えを見せない。感染症学会理事長は「第2波まっただ中」と述べるも政府はこのことに言及せず。相変わらず補償なき自粛要請に終始する▼今、急を要するのは、(1)PCR検査を面で行い、感染震源地を明確にする、(2)無症状陽性者の把握保護、(3)必要な職種への定期的PCR検査の実施、(4)陽性者を保護・治療する設備の整備・確保である▼具体策を実行することなく出されたのが「三密を避ける」に代表される〝新しい生活様式〟である。よく見ると非日常的な項目が並び、これからの生活様式になるとは到底考えられない。この中に・テレワーク・会議はオンラインとある。考えようによっては「働き方改革」の流れが取り込まれているようだ▼このコロナ禍の教訓は新自由主義に対する反省ではなかったのか。効率化・省力化・利益至上主義への警鐘ではなかったのか。メーデーが唱える8時間労働が破壊され、労働が家庭生活に忍び込み生活時間を侵食しそうである▼また〝オンライン会議〟は浸透してきているがその有用性はどうだろう。事実を伝達する点では便利だが、時間をかけ〝わいわい〟論議をし〝あーでもない、こーでもない〟と意見を交流することに関しては、はなはだ疑問がある。人の交流を深めることは会議の主目的ではないが、重要な要素だ。元京大総長の山極氏は「ネットで仲間はできない」と断言する。「顔を突き合わせ時間をかけて話をすることで、信頼が形成される」と。(無)
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