兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2020年11月25日(1959号) ピックアップニュース

燭心

 一万円札の肖像画は福沢諭吉であるが、近々渋沢栄一へ交代されるそうだ。渋沢は幕臣として渡欧。帰国直後に明治維新を迎え、新政府の大蔵省に出仕した。退官後に、第一国立銀行、王子製紙、聖路加国際病院などを設立するなど、約600の社会公共事業に関わった、日本の経済近代化最大の功労者と称される。来年の大河ドラマの主役ということで、どのように描かれるかが楽しみである▼渋沢は晩年、『論語と算盤・モラルと起業家精神』を著した。この本の骨子は大きく2点。一つは、「道義を伴った利益」を追求せよという主張。利益のみを優先する今の新自由主義を100年前に批判している。もう一つは、自分より人を優先し、公益を第一にせよという姿勢である。「経済を発展させ、富を全体で共有することで国全体が豊かになり、国民の幸せにつながる」という考え方であり、かつての日本の企業理念などに浸透している▼『論語と算盤』では「孔子は利殖を悪いとは一言もいってない。そのやり方が道徳に則っているべきなのだ」と指摘し、道徳と経済は合一だと説いている。この考えにもし違和感を覚えるならば、それは弱者を切り捨てる間違った資本主義に身を置いてきた証ではないか▼コロナ禍の下でも米国ではアメリカファーストどころか自らの利益優先、大阪では地域の将来よりも党利優先。このような政治に対しておかしいと感じる人が増えている。今こそ、間違った資本主義である、新自由主義と決別しよう(蓮)
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