兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2020年12月05日(1960号) ピックアップニュース

燭心

 菅内閣が誕生して2カ月。安倍政権の踏襲を掲げた通りの強権ぶりを発揮している。自助・共助・公助発言や日本学術会議の任命問題など、早くも不誠実な態度を見せているが、なかでもコロナ対応の迷走ぶりでは、大卒者の内定率低下や非正規労働者の解雇など、若い世代にも深刻な影響が出ている▼にもかかわらず、先日の毎日新聞の世論調査では若い世代ほど内閣支持率が高いという結果が報道された。70歳以上の40%台に対して30歳未満では実に80%が支持と回答している。若者に政治参加を呼び掛けている能條桃子さんによると、背景には現状維持志向、NOと言えない世代という日本の若者特有の特徴があるという。NOと言うには理由が必要なので、基本的にはYESから始まり、どうしても許せなくなって初めてNOを選択するのだそうだ。振り返れば第1次安倍内閣で、教育基本法を改悪して国家統制強化の方向性を打ち出し、道徳を教科化し秩序や規律を重視する姿勢を叩き込み、NOと言えない人間づくりに勤しんでいた▼相手をその気にさせる方法のひとつに「スモールYES・ビッグYES」という手法がある。小さなYESを積み重ねることで、最終的にNOと言えない雰囲気をつくるという。道徳心、公共の精神、伝統文化、国土・郷土愛などはそれぞれには反論し難い言葉で、消極的ではあるがYESを強いる力を持つ▼こんな若者の目を覚ます方法はただ一つ。将来に希望が持てる政策を掲げることである。(九)
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