兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2021年1月25日(1963号) ピックアップニュース

燭心

 滑稽なことに21世紀においても、市井の発明家の中に、永久磁石や地球の重力、バネ等を用い、夢のエネルギー源に通じる永久運動機関を特許申請する者がいるようだが、19世紀の帝国主義国家にとっては、食糧やエネルギーの確保は最重要課題であった。そのために植民地争奪戦、国家間の戦争が繰り返された▼イギリスで興った産業革命では、蒸気機関から始まり、石油を原料とする内燃機関に進展した。優れた内燃機関を有することは、国家の浮沈にかかわる大命題であった。フランスの貴公子S.Carnotは水車から、ドイツの国粋主義者Clausiusは大砲から、そして米国の研究者Gibbsら天才科学者は熱力学研究から、熱力学第2法則(エントロピー)の概念を得た▼ウィーン大学教授Boltzmannは、量子統計力学の観点から、エントロピーはある系での分子の確率分布の逆数の対数の平均値であると証明した。エントロピーの理論は宇宙普遍の原理で、人知の及ぶところではなく、永久運動機関は絶対不可能である▼国家レベルでの現代日本のAnalogyは、累卵のごとく危うい原発であろう。御用学者が安全性を述べても、絶対安全な原発は物理法則からしてありえない。自民党はマスコミを利用して、原発を止めれば日本経済が破綻すると喧伝し、安全第一であるのに採算や経済性に問題を狡猾にすり替えているが、本音は核技術温存のためか? 廃棄物の処理にしても、半減期は10万年以上もかかるが、いったい誰が責任を取るのか?(鼻)
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