兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2021年4月25日(1972号) ピックアップニュース

主張 憲法施行74年
日本国憲法の精神を広げよう

 日本国憲法が施行してから74年目の憲法記念日を迎える。協会はこれまで、戦争放棄・国民主権・基本的人権の尊重を原則とする日本国憲法の精神にのっとり、戦争に反対して憲法9条を守る取り組みや、安全・安心の医療を国民に提供するための診療報酬の引き上げを求める運動などに取り組んできた。コロナ禍のいま、日本国憲法の精神を改めて確認したい。
憲法25条に基づいた医療機関の減収補填を
 日本国憲法25条は、国に対し、国民の受療権を保障するよう要請しており、これに基づいて日本では、国民皆保険制度によって、国民が安心して医療にかかれるようになっている。この医療の担い手が、われわれ医師・歯科医師であり、憲法に基づいて高い公益性を持った保険医療機関が、日々の診療に当たっている。
 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、これまで経験したことのない受診抑制が起こっている。感染拡大に伴う受診抑制は医療機関の収入を減少させ、経営を大きく悪化させている。
 政府は、さまざまな「支援策」として融資制度などを創設したものの、昨年度実績に基づいた減収補填はいまだに行っていない。憲法25条の精神にのっとり、医療機関の経営を保障する減収補填の実現を強く求めたい。
自民党政権による憲法違反の常態化
 菅内閣は昨年、日本学術会議の新会員候補の任命拒否を行った。学術会議の会員の適否を政治権力が決めることは、政府から独立して中立な立場から提言等を行う学術機関である学術会議の独立性を破壊するとともに、憲法23条が保障する「学問の自由」を破壊することである。第2次安倍政権の下でも、戦争の放棄を定めた憲法9条明文改憲を強行しようとしただけでなく、同条違反の集団的自衛権行使容認、野党からの要求に対し臨時国会不召集という憲法53条の国会開会義務違反、市民のプライバシー権(13条)・内心の自由(19条)・表現の自由(21条)を侵害する恐れが高い共謀罪法、またそれらの違反を続けてきたという憲法99条の公務員の憲法遵守義務違反など、多くの憲法違反を繰り返してきた。さらには安倍政権の継承を公言した菅首相が、就任早々学術会議人事に介入するなど、自民党政権の下で、憲法違反が常態化していることは、異常事態と言える。
憲法の精神に沿った政治の実現を求める
 基本的人権の尊重は戦争の反省から定められたもので、悲劇をくり返さないため、国民が不断の努力で守らなければならない(12条)。協会は今後も、保険医のみならず国民の人権を守るため運動を続けていく。
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