兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2021年5月25日(1974号) ピックアップニュース

主張 コロナ禍での医療
減収補填は国の責任で

 新型コロナウイルス感染症の猛威が収まらない。自粛を要請するのに補償はわずか、計画性を持った広範囲なPCR検査体制や速やかなワクチン接種もできていない。対応が後手後手になってしまっている現状に加え、変異株感染が急速に広がっている。都市部での医療崩壊に歯止めがかからない。
 このような状況は、医療の高度化や超高齢社会に対応したマンパワーの育成を、医療費抑制のために政府が意図的に抑制してきたことが背景にある。保健所の機能不全がクローズアップされているが、政府はこの20年間保健所の数を706→469、保健所の医師数2110人→907人、保健所の臨床検査技師数を2054人→701人に減らしてきた。加えて現在推し進められている〝地域医療計画〟では2025年度までに約14万床削減するとしている。さらに驚くことに政府は、コロナ禍の下でも医療法等改定案=〝病床削減推進法案〟を自民党、公明党、維新の会、国民民主党の賛成で成立させようとしている。
 医療現場はすでに大混乱状態で、一次医療から三次医療まで必死になって対応しているが、保険収入は大きく落ち込み、医療従事者にも影響が出ている。コロナ患者の入院医療を行った病院の4割で、ボーナスがカットされている。
 協会は、コロナ禍による減収は医療経営を怠ったからではなく、「災害」時の対応の結果としてとらえるべきと主張する。そのため、かつての大震災時のように、前年並みの医療費での〝概算請求〟による〝減収補填〟を求めている。

国民への医療提供は国の責任
 憲法25条に基づく公共財としての医療の提供は、政府が責任をもって行うべき重要な事柄であるのは当然である。災害によってその運用が危機に陥った時は直ちに政府が責任をもって迅速に対応するべきである。
 今回コロナ禍において、政府の医療政策の問題点を明らかにすることや、社会保障・医療の担い手である医療機関、医療者の必要性を改めて再確認することの大切さを痛感した。それをふまえて、兵庫協会では新たな政策パンフレット『今こそ医療費抑制政策の転換を』を作成した。コロナ禍による医療崩壊の原因について迫る内容であり、先生方にご一読いただきたい。
(パンフレットは6月中に先生方にお届けする予定)

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