兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2021年6月05日(1975号) ピックアップニュース

県知事選挙 金田峰生氏と政策協定
コロナ対策・福祉充実の県政へ

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政策協定を結んだ金田峰生氏(中央)と(左から)川西敏雄副理事長、西山裕康理事長、(1人おいて)武村義人副理事長、加藤擁一副理事長

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憲法が輝く兵庫県政をつくる会推薦・元県議
金田 峰生
【かねだ みねお】
1965年神戸市長田区生まれ。加古川北高校、日本福祉大学卒。兵庫県保険医協会主任を経て、99年から1期、兵庫県会議員を務める

 新型コロナ禍からいのちとくらしを守る県政へ転換を--。協会は7月18日投開票の兵庫県知事選挙にあたって、5月22日の理事会で、「憲法が輝く兵庫県政をつくる会(憲法県政の会)」が擁立した金田峰生氏と政策協定を行った上で、支持推薦することを承認。5月26日に金田氏本人と「開業保険医の重点要求(案)」(前号既報)の全項目について合意し、支持推薦を行った。

 県知事選挙にあたって、協会は今次選挙をこれまで掲げてきた要求を実現するための重要な機会と位置づけ、4月24日の理事会で開業保険医の重点要求案を承認、5月22日の理事会で県知事選挙への対応を確認した。協会は、コロナ病床確保の遅れや福祉医療制度の縮小に代表されるような県民のいのちと健康を守る立場とはほど遠い、これまでの井戸県政の問題点を指摘し、いのちと健康を守る県政への転換を求めている。
 これを受け5月26日、西山裕康理事長、武村義人・加藤擁一・川西敏雄各副理事長が、金田氏に「開業保険医の重点要求(案)」を示して、政策協定について協議した。協会からは、井戸県政のもとで、老人医療費助成事業が廃止され、県下各地で公立病院の統廃合を進めるなど、県民の医療・福祉が削減されつづけてきたことを紹介。国の方針のままに病床削減を進める県の姿勢は、医療提供体制の確保に責任を持つとは言いがたいとした。
 金田氏は「5期20年の井戸県政が県民のいのちや健康を軽視してきたという評価は同意する。選挙戦では、新型コロナ感染症対策を重点として病床を確保するとともに、受診抑制等による減収補填を国に求めたい。『開業保険医の重点要求(案)』を医療分野政策の中心に位置付けてたたかう」と述べ、政策協定に調印した。

選挙活動は「有志の会」で
 方針では、協会として支持推薦を行うものの、個々の会員の思想・信条・政治活動の自由を保障する立場から、選挙活動は協会とは別に「有志の会」で行うとしており、有志の会への賛同を呼びかける。

2021年 兵庫県知事選挙への対応
兵庫県保険医協会 第1133回理事会
 協会理事会は5月22日、兵庫県知事選挙(7月1日告示・18日投開票)への対応を確認した。5期20年の井戸県政と有力候補者の政策の問題点を指摘し、県政の転換をめざして、憲法が輝く兵庫県政をつくる会の金田峰生候補を支持推薦するもの。協会の県知事選への対応全文と、金田氏が掲げる公約の概要を掲載する。
1 はじめに
 今回の新型コロナ禍でも明らかになったように、県には県民の命と健康を守るため、新興感染症等の流行時には、行政検査や病床確保、患者の入院調整などを行うことはもとより、平時から保健所の設置と運営、公立・公的病院における感染症病床の整備など公衆衛生行政を担うという役割がある。また、地域医療構想や地域医療計画の策定、福祉医療費助成制度の整備など、県民に提供する医療の在り方を左右する権限がある。さらに、大規模災害などから、県民の生活とくらしを守る役割も持つ。また、国政に対し、県民の意思を代表するという県知事の役割も重要性を増している。こうしたことから、私たちは今次知事選挙を、県政における新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、医療・社会保障に関係する課題はもとより、国政における課題も含めて、これまで私たちが掲げてきた要求を実現するための重要な機会として位置づけるものである。
2 経過(これまでの知事選挙への協会のかかわり)
 協会は、民主的討論を経た上で、首長選挙については、「開業保険医の重点要求(案)」を受け入れ、これを実現する無党派の候補者を推薦し、選挙母体に参加して必要な活動を行うことはあり得るとの立場をとってきた。同時に、この場合においても個々の会員の思想・信条・政治活動の自由を保障する立場から、実際の活動は協会とは別に自主的な会を有志で組織し、行ってきた。前回2017年知事選挙では、協会理事会は「知事選挙に当たっての開業保険医の重点要求(案)」を作成し、各専門部や各支部での討議を呼びかけて充実させた上で、方針案を承認し、「憲法が輝く兵庫県政をつくる会」が擁立した兵庫県高等学校教職員組合元委員長の津川知久氏(憲法県政の会代表幹事)を、候補者として推薦した。
 36団体が加盟する「憲法が輝く兵庫県政をつくる会」(以下、憲法県政の会)は、日常的に県政の課題に取り組み、時々の県政に関する課題とその解決の方向性を明らかにした書籍「ウィーラブ兵庫」の発行や、シンポジウム、県政学習会などに取り組んでいる。協会は、憲法県政の会に加盟し、武村義人副理事長が代表幹事を務めている。こうした関係の中で協会は、憲法県政の会がさらに多くの県民や県内のさまざまな団体の共同の場として発展するよう尽力してきた。
3 これまでの井戸県政と有力候補者の政策をどうみるか
 私たちはこれまでの知事選挙で、井戸県政について、阪神・淡路大震災被災者の借り上げ復興住宅からの追い出し問題、財政健全化を理由に県民サービスと自治体労働者の雇用を切り捨てる「行革」、福祉医療制度の改悪、不要不急の大型公共事業推進などを問題視し、これらを進めてきた井戸敏三知事の政治姿勢は協会の県政要求実現には程遠いものであるとの立場をとってきた。井戸知事は、新型コロナウイルス感染症対策についても、医療従事者に対する慰労金の支給に疑問を呈したことをはじめ、感染制御効果がはっきりしない「うちわ会食」のための県費支出を行ったり、いまだに47都道府県中42番目の水準でしか新型コロナウイルス感染症患者用の病床整備を行わないなど、とても新型コロナ禍から県民の命と健康を守る政治を進めたとはいいがたい。そればかりか、新型コロナ禍にあっても病床削減ありきの地域医療構想を継続して推進する姿勢は国の医療費抑制政策に率先して追従するもので、県民の健康と命を危険に晒している。
 今回、井戸知事は退任を発表しており、後継として前副知事の金沢和夫氏を一部の自民党県議らと推薦している。金沢氏も井戸県政の継承を公約しており、県政の転換は望むべくもない。一方で、金沢氏擁立に反発した自民党県議らと日本維新の会は前大阪府財政課長の斎藤元彦氏を擁立した。斎藤氏は大阪府・市が進める万博や国際金融都市構想、ライフサイエンスの国際拠点形成に兵庫県を連携させることや、徹底した行財政改革を行うことを公約として掲げており、大阪府保険医協会や大阪府歯科保険医協会が反対してきた「維新政治」を兵庫県でも実現することを狙っている。結局、これらの候補が目指す兵庫県政は、住民の医療や福祉を切り捨て大企業への利益誘導を行うもので、私たちの要求実現には程遠いものであると言わざるをえない。
4 開業保険医の要求案を実現させよう
 われわれは、県民医療の改善等、別記の要求(前号に全文を掲載)の実現を求めるものである。
5 支持推薦と開業保険医の要求実現について
 今回、憲法県政の会が候補者として擁立した金田峰生氏は、元兵庫県議であり、県議会では県の福祉医療制度改悪に反対し、小児救急体制の充実を訴えた。また、金田氏はこれまで共産党の公認候補として国政選挙等に立候補しているが、今回は無所属で立候補するとともに「県民と立憲野党の共同を広げ、憲法と地方自治法に基づく県民本位の県政をめざします」と決意を述べており、支持推薦を行う条件があると判断する。今回も民主的な討議を尽くし、協会の要求案をもとに政策協定を行ったうえで、支持推薦を行うこととしたい。ただし、直接的な選挙支援の活動は、これまでの県知事選挙同様、有志の会で行うこととする。
6 会員への情報提供
 協会の要求案や候補者の政策など、会員への情報提供に務める。
以 上

金田峰生予定候補の公約(概要)
 金田氏が、県知事選挙に当たっての公約を発表したので、概要を紹介する。
(1)県民のいのちと暮らしを守る県政に
コロナ対策の緊急の強化が必要です。
「行財政改革」の名で医療や福祉を削る政治は、もうおしまいにしましょう。
1.PCR検査を大規模・頻回に行い、無症状感染者を保護します。
2.医療機関・介護施設等への補償・支援を充実します。
3.休業補償制度を確立し、雇用の継続と賃金を守ります。
4.コロナ禍で収入減の中小企業に補償を行い仕事を確保します。
5.高校卒業まで医療費を無料にします。国民健康保険料を引き下げます。
6.防災対策と生活基盤整備で安心して暮らせる地域づくりを進めます。
(2)ジェンダー平等、すべての人の尊厳を等しく守る県政に
意思決定の場に、性別や年代を越える様々な声を反映させ、政治や社会をより豊かに発展させる道をひらきましょう。
(3)産業を支え、地域を支え、雇用を守る県政に
経済の主人公は、はたらき生活している私たち。
中小企業をはげまし、環境を守りながら大企業とも力をあわせ、地域の経済力を育てましょう。
(4)子どもの未来をひらく県政に
あたたかい給食、安心・安全の食事をすべての子どもたちに。
生活の安心、等しい教育機会、豊かな文化に親しむ機会を広げ、子どもの未来をひらきましょう。

支援活動は「有志の会」へ今号同封の用紙にてファックスでご返信を
 協会は会員個人の思想信条の自由を保障する立場から、直接的な選挙支援活動につきましては、有志の会で行うとしております。
 有志の会は、協会政策担当役員らが呼びかけ、「憲法が輝く兵庫県政をつくる医師・歯科医師の会」として発足させました。金田峰生氏を支援する活動にご協力いただける先生は、上記の「金田峰生氏とともに県民医療を守り充実させるアピール」にご賛同いただくとともに、物心両面でのご協力を賜りたくお願い申し上げます。

この件についてのお問い合わせは、電話078-393-1807まで
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